私の暮らす西オーストラリア州の現状
11月中旬に州境が開くと発表された。オーストラリア国内の州をまたぐ移動が可能になるのは、約9ヶ月ぶりのことである。国内旅行が出来る目処が立ち始めたが、自州内での楽しみ方も定着してきたように思う。
例年、休暇は必ず海外で過ごしていた人々は、こぞって州内のリゾート地やワイナリーでホリデーを過ごしているようだ。誰もが心配した通り、海外や他州のお客様を対象にしていた業態には、大きな損害を被っている所も多い。一方、西オーストラリア州だけ見ると、リゾート地など例年よりも忙しいのではないかと思う場所も多いのが事実だ。その好例の1つが、西オーストラリア州を代表するワイン産地、マーガレットリバーである。
マーガレットリバー
首都パースから南へ3時間ほど車を走らせたところに広がる街。縦30km・横10kmに広がる一帯をワイン産地「マーガレットリバー」と呼ぶ。世界でも有数のサーフポイントとして
も知られ、ワイン好きだけでなくサーファーも多く訪れている。ブドウ畑とインド洋、そして雲ひとつない空が絵にかいたように美しい場所だ。
こちらでは「スクールホリデー」と言ういわば、学校の夏休みや冬休みの時期になると、この辺りの宿泊施設は、家族連れでほぼ満室、大忙しとなる。
子供がいない人たちにとって、スクールホリデーを避けて訪れるのが鉄則。
いつも通りスクールホリデーを外し、特に大きな連休もないごく普通の週末を狙ったにも関わらず、宿泊の予約サイトを見ると満室の文字がチラホラ。 レストランも、予約しておかないと入れない程混んでいると言うから驚いた。
人々が、休暇を取り州内に留まることで地元の商売がこのような恩恵を受けられることは非常に良いことのように思う。
Walsh & Sons
前置きが長くなってしまったが、無事に宿を確保出来た私は、3泊4日でマーガレットリバーへ出かけた。今回の旅の目的は日本への輸出をお手伝いしているワイナリーやワインを造っている友人に会う為である。初日に、温かく迎えてくれたのは家族から譲り受けた歴史ある土地で、夫婦でワインを造っている「Walsh & Sons」。彼らのワインには、ウォルシュ夫妻の子供達の名前が付けられており、家族愛を感じるワインだ。
セラードアが設けられているわけではなく、今回は彼らの自宅へ招いて試飲をさせてくれた。その自宅が、モダンで美しく、リビングの窓から見下ろせるブドウ畑は、絶景だった。「こんな所に住めたら。。。」と思わず、欲望が頭をよぎった。
6種類のワインを試飲させてもらった。どれも美味しく、一口飲むたびに「おぉ〜」と友人と顔を見合わせた。どのワインにも個性がしっかりと感じられ、新感覚の味わいと美味しさだった。
Miki‘s Open Kitchen
試飲には、地元で超人気日本食レストラン「Miki‘s Open Kithchen」を営む友人のMikiさんも同席し、和気あいあいと賑やかで楽しいひと時であった。
Mikiさんが気に入ったのは、セミヨンを主体にシャルドネをブレンドさせた白。この辺りの定番であるドライでキリっとした「セミヨン・ソーヴィニヨン・ブラン」やセイボリーでさっぱり飲めるセミヨンとはまた少し違う複雑味と味わい深さを感じるワインだった。すごく品質の良いオーク樽を少しアクセントに利かかせている。
このワインは早速、Miki’s Open Kitchen でサーブされるそうだ。生産量を聞くと、そう多くないので、自由に国境を行き来出来るようになる前に完売してしまいそうであるが、常に地元の素晴らしいワインと和の心のマリアージュを奏でてくれるMikiさんのレストランへ旅行に訪れる皆様には是非、お勧めしたい。
私のマーガレットリバー記は、続く。