美味しい街へ
活気に溢れた街の様子もさることながら、その街並みから不思議と、田舎の実家に帰ったようなアットホームな雰囲気が漂うアデレード。
そこから飛行機に乗って一時間半ほどでメルボルンへ到着。日本でいう、東京・大阪間の飛行機移動
の感じ。かつては、イギリス領であったオーストラリア。その名残を最大に感じるのがここ、メルボルンだ。
ヨーロッパ調の歴史的な建物を今に残す街。うっとりするような街並みはもちろんのことながら、メルボルンのイメージを一言で表すと「美味しい街」(前回にて、究極のグルメ旅ならマクラーレンヴェール へ!と豪語しておきながら、やはりまた食べ物の話)。
世界中から移り住んできた数多くの移民が暮らすことに影響されて、各国の伝統料理が味わえるお店や独自のスタイルの創作料理など、バラエティに富んだ食文化が楽しめる。
そこにヨーロピアンな街並みが調和することで、どのお店も洗練された素敵なレストランとなり、食通を飽きさせない。働くスタッフの幸福度にも、注目したい。どのレストランでも、スタッフの対応が素晴らしいのだ。心地よい空間を提供してくれるのが、メルボルンの食文化の魅力である。
ワイン産地として名をはせる
食通を魅了し続けるのは、料理だけでは無い。メルボルンから少し足をのばすと、ヤラヴァレーやモーニングトンペニンシュラといったワイン銘醸地に辿りつく。
今回、私が訪れたのは、昨年のピノパルーザTOKYOでも人気を集めたヤラヴァレーのワイナリー「Giant Steps(ジャイアント・ステップス)」。マーケティング担当のサマンサがワイナリーを案内してくれた。
最新式の醸造ツールがずらりと並ぶ近代的なワイナリー。整備された無駄のない空間から、洗練された質の良いワインが醸されていることはすぐに感じ取れた。
ジャイアント・ステップスを立ち上げたフィル・セクストン氏のセンスの良さは、様々なところで感じられる。ワイナリーの知名度が上がるまではメルボルン郊外からほど近い場所にセラードアを構え、まずは地元の人々にワイナリーを知ってもらうことに徹したんだそう。今では、6つの自社畑を所有し、近代的な醸造所を構える、ヤラヴァレーを代表するワイナリーへと成長を遂げた。
その名の由来
ジャイアント・ステップスの名前は、モダンジャズのサックス奏者ジョン・コルトレーンがリリースしたアルバムに由来しているそう。名前を聞いて曲調が浮かばない方には、是非、インターネット検索をして聴いてみて欲しい。アップダウンのある曲調は、聴いていて心が踊る。
名前を取った背景には、曲調にちなんだヤラヴァレーの起伏に富んだ地形とコルトレーンのように時代を先行く存在にな
るという想いが込められているそう。試飲させて頂いたワインの中でも、ピノ・ノワールに心を掴まれた。一見クセがなく
キレイで美しい印象だが、香りのボリュームが高く、良い意味で少しツンデレな印象も垣間見える。
ふと、メルボルンのお洒落な街並みが頭によぎった。イケてるジャズバーでコルトレーンの演奏を聴きながら、グラスのワインは、このピノ・ノワール。とっても素敵な夜が過ごせそう。