筆者がお邪魔したのは、「里山シェア 大井松田」とシェア畑「アグリパーク 伊勢原」。いずれも株式会社アグリメディアが運営する貸し菜園の一形態で、普段土と触れ合う機会の少ない都市部の方へ自然と接する機会を提供している。さらに必要な道具類は現地でレンタル可能、栽培に関して知識が無くても専門家に相談可能という門戸の広いサービスだ。都市部にお住いの読者の方も多いと思うが、アスファルトとコンクリートで固められた世界を離れ、畑に触れることはいいリフレッシュにもなるだろうし、何より自分で育てた野菜は格段においしく感じられるに違いない。
里山シェアは現状大井松田の一か所のみだが、ここでは畑での農作業のみならず里山の暮らしを一日中楽しむことができる。遠くに横浜を望む山間に位置するこの里山では、四季折々の収穫物に合わせた加工体験やバーベキューが楽しめる上、夏にはカブトムシ狩りもできるなど里山を丸々体験することができる。生まれも育ちも都市部の筆者はいわゆる田舎を帰省先として持たないが、ゆったりとした時間の流れやのんびりとした空気にどこか懐かしさを覚えた。
畑を持つとなると作物の世話も心配だろう。里山シェアでは専門のスタッフが日頃の世話をしてくれるため月に一回程度の訪問でも楽しむことができ、どうしても足を運べない場合でも作物を宅配してくれるサービスがあるので無理のない範囲で楽しむことができる。
より身近に、日常的に利用したいなら拠点数の多いシェア畑がおすすめだ。こちらは里山シェアと異なり、ある程度は自分で世話をする必要があるが自宅近くの拠点を選べば世話も容易である上、例えばホームパーティー前にふらっと収穫へ行くといった使い方も可能だ。場所により異なるが筆者が訪ねた「アグリパーク 伊勢原」では赤ピーマン(パプリカとは別品種)や白ナスといった珍しい野菜の栽培やヤギの飼育にも取り組んでいた。
畑や里山を第二の故郷のように利用できるアグリメディアのサービス、借りることのできる菜園は耕作放棄地や休耕地を再活用しているという点にも注目だ。農家の後継者不足や耕作放棄地の問題をしばしば耳にするが、このサービスは解決策の一つなのかもしれない。食の安全への関心も高い今、皆さんも検討されてはいかがだろうか。
取材協力(敬称略)
株式会社アグリメディア 大原悠莉子 奥田慎平