毎日のように祝い事があるわけではないが、笑ってはいられないさまざまな出来事は毎日起こり得る。自分を慰める時間、癒す時間、必ず必要なのだ。良い経験よりも、嫌な経験は身体に刻むように跡が付く。だからだろうか、祝いの席でのワインよりも、心を癒すためのワインの味わいの方が覚えている気がする。ことにワインは、味わいもそうだが「思い出」が味を構成している事が多い。
慰めの1杯、癒しの1杯。2016年を頑張った、という証ではないだろうか。これと言って何かを特別に頑張った訳ではない…と思うかもしれないが、「毎日を過ごしている」ということが一番大切なことだ。
祝い酒、慰め酒、癒し酒。やはり「特別感」と「雰囲気」を求めて身体がシャンパーニュを選ぶ。祝い酒にはもちろんだが、今年気付いたのは絶大なる「癒し効果」だった。クリーミーな味わいと繊細さは身体というよりも心に染み渡る。シャンパーニュを選ぶことも、それを敢えて選んでいるということも、自分への慰めや癒しに繋がる。なんとも、心強いお酒だ。
最近は20代のワインラヴァーが増えている。私が30代だからか、年齢が近いワインラヴァーの話を聞くことが多い。20代のワインラヴァーは飢えている。アルコールに、ではない。自分と同じようなワインラヴァーが周囲に少ない、ということにだ。確かに、20代で「晩酌はいつもワインね。」という方は少数派だろう。20代の飢えたワインラヴァーは、心の高揚を求めてワイン雑誌を開いている。私自身がそうであったように。
働き盛りの20~30代。やはり祝い酒よりも、慰めと癒しを求める事も多い。そんな中で、自身は何ができるだろうかとワイン片手に問う。ワインは特別なものではなく、日々のお酒として日常に溶け込んだワインライフを提案することができれば、と。
ワインで今年の振り返り。シャンパーニュ片手に心を高揚させることも、しっとり赤ワインでゆるりとした時間を保つことも良い。今年の雑誌を引っ張り出し、片手にはワインを。
また新しい年が始まろうとしている。