「新しいラベルのこの赤い●の意味が分かりますか?サントリー日本ワインの歴史を表したくて、今まで携わった方々に敬意の意味を込めて付けたんですよ。」
目に映る熱い想いは、酔いの中での目の潤いではない。自社製品をこれほどにまで熱く語る方々とワインをご一緒するのは光栄だった。日本でワインを造る、広めるということに心を燃やしている方々の想いをどれほど私は伝えることができるだろうか。自分の不甲斐なさを痛感しつつも、今回ご招待いただいたセミナーのレポートを書き進めることにする。
昨年、日本ワインと和食を身近に感じてもらえるようにと料理ブロガー達と共に、日本ワインファンバサダーとして半年間ブログで記事を書かせていただいた。そのご縁で、ご招待いただいた今回のワインセミナー&懇親会。ワインラヴァーとして嬉しい限りです。
今回ニューリリースされる塩尻ワイナリーシリーズ。来年の日本ワイン法施行を意識された、ぶどう収穫地と醸造地である「塩尻」を大きく表示されたラベルが分かりやすいと同時に自信に満ちている。
今回は銀座NAGANOのソムリエと、サントリー塩尻ワイナリー所長のお二人から塩尻の歴史と今現在の塩尻のご説明を受ける。贅沢なセミナーにスタートから心が躍ってしまう。
なぜ「塩尻」なのか。塩尻のテロワールは生育期の降水量が少なく、寒暖差が大きいことでブドウが健全で高品質なものが生まれるという。ただそれだけではない。地域が一体となってこの「塩尻」という選ばれた土地に期待をしている。だからこそ企業の枠ではなく産地が一体となって盛り上げようという、みなぎるようなパワーが溢れている場所なのだ。
テイスティングは特徴がよく表れている3種。ジャパンプレミアム塩尻マスカット・ベーリーAミズナラ樽熟成 2013・塩尻メルロ 2013・岩垂原メルロ 2013。
このために今年最初にカメラを変えたのだ・・と思うほど、深紅であり艶のある色合いをカメラに収めて自己満足。ウイスキー樽である「ミズナラ」を使用したマスカット・ベーリーAは初めての体験だった。ココナッツにびゃくだんという個性的な香りの中に、懐かしい木造校舎のようななぜかホッとする香りがふわり。日本人の心を突くような憎さは、日本ワインにしかやはり感じられない。
つーんと挽き立ての黒胡椒のようなスパイシーさは塩尻メルロ。2013ヴィンテージは赤ワインにとってとても良い年のようだ。凝縮感の中にあるイキイキした酸もある。岩垂原メルロに至っては、日本ワインということをしばし忘れてしまう。「高品質」では語れない。熟成させるべきなのだろうと、ポテンシャルの高さを一口一口感じることができる味わいは日本ワイン界の期待を背負っている。
今回のセミナーは二部制であり、お次は信州料理とのマリアージュ体験!待ってました。乾杯は何のワインだ!?と期待するとそこはやはりプレミアムモルツ。そこはそうでしょう、そうでしょう。惚れたっ。
信州の食材が贅沢に使われているコースの中に、信州ご当地グルメまで組み込んでくださっていた。ワインと料理は高度なマリアージュばかりではない。ご当地料理とワインを合わせることが本来の相性なのだ。そんな想いがスタートからビシビシ伝わってくる。
ホワイトアスパラガス、天然のうど、山菜といった旬のものと日本ワインとのマリアージュは日本ならではだ。特に繊細な味わいである和食には日本ワインの持つ優しさが大切になってくる。ただ、日本ワインは優しいと言われ過ぎて薄いやら個性がないやらという印象を持たれている方も多いだろう。今の日本ワインには強い意志と芯のある優しさが表れているように思う。「優しさだけでは世界に通用しないんだよ、お姉ちゃん。」と言われている気分だ…(まだお姉ちゃんで許されるだろうか。。)
美味しいワインと美味しい料理、そして美味しいものを共有する時間に集う人々。杯が進むにつれて、サントリー皆さまの想いがあちらこちらのテーブルから聞こえてくる。この塩尻ワインをリリースするに至って、当初から関わっていた人々の顔を思い浮かべながらお話しているのだろう。当初というのは、赤玉からということだ。塩尻の地にメルロを植え替えた時からの。だからこそ、この赤丸のラベルを見る目に熱いものを感じるのだろう。心にじーんと来てしまう。
ワインという広いようで狭い世界の中で、ご縁をいただき光栄だった。日本ワインという大きな期待は「産地」全体でパワーを発揮していかなければならない。企業の枠を超え、歴史あるワインの概念を超え、これから日本ワインはさらに盛り上がっていく。そう強く感じるセミナーだった。
9月5日(火)
国産ぶどう100%ワイン“日本ワイン”「塩尻ワイナリー」シリーズ新発売
http://www.suntory.co.jp/news/article/12846.html