甘口から辛口へ、健康志向の人たちが増えるにつれてワインの嗜好も時代によって変わる。甘いワイン=ワインの初心者が飲むものだというイメージを持つ方も多いのではないだろうか。それはそれは、もったいない。確かに辛口は食事に合うが、ほんのり甘いロゼワインも中華や日本食には合うものだ。
デザートワインも悪くない。≪甘口のワインは体重に響く≫そう思い続けてきたけれど、(辛口なら大丈夫、というわけでもないだろうけれど)年齢と共にダイエットなんて気にせずにデザートワインもさらに頼むなんて、自分に甘々になっている。最近、夫婦で気に入って食後にデザートワインを飲んでいる。“超”が付くほどの甘党というわけではないが、食後はコーヒーとチョコレートが欠かせない。そんな中、ふと手にしたデザートワイン。
ワイナリーにいくと高い確率でデザートワインを購入してしまうのは、勧められるがまま…というわけでもない。素直に「あ~美味しい」と感じるからだ。数年前まではスイートワインは残糖が口をベタつかせるのではないかと勘違いしていた。
甘口との衝撃な出会い、それはシャトー・ディケムを一口飲んだ時だった。もちろん、もちろん、白ワインの頂点だからなのか??と思った。ただその後も貴腐ワインを飲む度に感じることは、甘いだけではなく爽やかにハーブのようにふわりと、後くされ無く喉に滑り込み、胃をスーッと落ち着かせる。この包み込むような優しさと安心感。これは良い、と。
貴腐ワイン、アイスワインはもちろんのこと、甘口ワインの酒精強化ワインもまた良い。
レストランなどでは、ミュスカ・ド・ボーム・ド・ヴニーズなんて、口を噛みそうなワインを置いている場合がある。食前に飲まれる方も多いとは思うが、同席した相手に「デザートワインなんて、食後にどう?」なんてオススメすることもなかなかの通に見られそうだ。なんといっても、胃を落ち着かせてくれる。最後だと「締まる」あの感じたまらない。
デザートワインは、バレンタインだけの飲み物というイメージが多い。さらにスウィートワインは全く手を出さないという方も最近では多いだろう。たっぷり食事を楽しまれた後に、ぜひスウィートワインを1杯。なんだか悩みってなんだった?というほど、優しさに包み込まれるだろうと思う。