
デンマークのワイナリーの様子
オーストラリア=カンガルー?
「オーストラリアでカンガルーを飼っている」と話すと、「そうなんだ!」と、信じてしまう人がいるであろう。オーストラリアと言えば、カンガルーのイメージは強い。
それと同時に、「オーストラリアと言えば」で思い浮かべてもらいたいのは「ワイン」。ワイン大国であるオーストラリアでは、ほぼ全ての州でワインが造られており、ワインは国の大きな資源となるが故に、ブドウ畑やワイナリーはとても尊重されているのです。
実際に、大きなワイン産地を訪れると、カンガルーや野生の動物の住む領域とブドウ畑はしっかりと区切られており、ブドウ畑は徹底管理されています。
ところが、先日私が訪れたデンマーク近郊のワイナリーでは、カンガルーがワイン畑を飛び回っているではありませんか! ブドウ畑の策を乗り越え、ブドウ畑のど真ん中でお昼寝をするカンガルーや、ブドウをつまみ食いしているカンガルー。
デンマークのワイナリー、ライジングスターのオーナーに尋ねると、「ブドウは自然からの贈り物。少しくらいは、カンガルーにもおすそ分けしないとね。」と顔をほころばせる答えが返ってきたのです。
もちろん、カンガルーにブドウを台無しにされては、良いワイン造りはできません。決まったタイミングでネットを張り、ブドウを害虫や野生の動物から守る作業は行われています。しかしながら、根本的にデンマークに住む動物たちは、ブドウ畑の仕組みを理解しているかのように穏やかで、カンガルーや牛、馬、羊たちと共存し、同じ領域でブドウを育てているのです。
これほどの、大自然の中で育つブドウ畑を見たのは初めてでした。
1日の流れを観察すると、朝日と共にカンガルーが飛び回り、日中はブドウ畑の間でお昼寝、おやつの時間にブドウをツマミ食いし、夕方になると家族会議のようにどこからともなくカンガルーや牛たちが集まり、ワイナリーの周辺で井戸端会議を始めます。まるで、動物たちが、ワイン造りに参加し見守ってくれているようにも思えました。
時には、ワイン生産者の方を悩ませることもあるかもしれません。それでも、自然の成り立ちに逆らわず、あるがままの状況に感謝して造りだされるピュアなワイン。それが、西オーストラリア州デンマークのワインです。
世界中のあちこちでワインがブランド化されている中、高級なワインや有名なワインを飲んで幸せを感じるのも一つかもしれませんが、まだ誰にも先入されていない、あなただけが知る特別なワイン。飲むと、自然の力を感じ、造り手の愛情を感じる。手間をかけて造られたワインであることが分かる、クオリティの素晴らしさを感じるオーストラリアワインです。
出会ったことのない素晴らしいワインに出会う幸せ
ワイン愛好家として、未だ出会ったことのない素晴らしいワインに出会えた時の幸せは、感慨深いものです。
ライジングスターのオーナーは、アメリカのテキサス出身のカップルです。旅行中に訪れた、デンマークの素晴らしさ、ワインの美味しさに魅了され、ワイナリーを購入されました。それ以来、醸造学を学び、今では、西オーストラリア州で有名な一流ワイン醸造家ジョン・ウェイドのサポートを経て、彼ら好みのフレンチスタイルのオーストラリアワインを毎年少量だけ生産しています。
出荷したての自らのワインを飲み、ジョンはこう言いました。「この味になることをイメージして、収穫のタイミングを決め、醸造方法を決めた。もっと言えば、僕はこのワインの10年後20年後の味も想定している」と、思い通りのワインに仕上がっていることを嬉しそうに語ってくれました。
ライジングスターで使用するブドウは、オーナー夫婦の家の目の前に広がる自社畑で、自分たちが愛情を込めて育てたブドウの中でも出来の良いもののみ。収穫のタイミングは全て、ジョンの将来を見越した合図次第です。年間の生産量は、限られています。そこから、名門フレンチオーク樽を使用し、最低5年熟成させてから出荷するのです。
ワインができたらすぐに飲んでしまう国、オーストラリアで最低5年熟成させるというのは、至難の技なのです。そうしてリリースされた、大変貴重な彼らのカベルネソービニョン2011とメルロー2011。何も言いません。ボルドー左岸・右岸のワインに何万円も出すのであれば、ただ、騙されたと思い飲んでみてください。
このクオリティは、世界に共通するものだと、私は思います。
ラインジングスターのオーナー ポールとグウェン
西オーストラリア州に秘めた真のオーストラリアワイン。気になった方はWINE LISTでご購入頂けます。
https://winelist.jp/