セルビアの赤いヤツ
アイバルって知ってますか? 僕は3年前にこれが食べられるセルビア共和国を訪ねた。
ところでセルビアってどこだか分かりますか? 南東ヨーロッパ、バルカン半島中西部の内陸に位置する共和制国家で首都はベオグラードである。これでもピンとこないと思うのでイタリアの右側の海、アドリア海を渡った向いにあるハンガリーの下に位置する国と言ったら分かり易いかもしれない。
そのセルビア共和国に入るや否や、赤い物体がしつこいくらいについてきて食べさせられる(笑)その赤い物体とはパプリカのことで、特にペースト状になった物をアイバルという。
これは焼いた赤パプリカに、にんにく、オイル、スパイス、塩などをよく混ぜて煮るこの国の保存食の1つである。昔から秋になると各家庭でオリジナルレシピによって作られ、異なった味が楽しめる。パンに塗ったりパスタに混ぜたり、肉料理の付け合せにしたり、サラダ代わりにしたりと色々な食べ方をしている。ライスにも結構合う。
近年では家庭でアイバルを作ることが減ったそうだが、ローカルスーパーなどで瓶入りのアイバルをいつでも購入することが出来る。僕は全身が真っ赤に染まるくらいパプリカやアイバルを滞在中に食べたが、やっぱり珍しさからおみやげに瓶詰めの“ 赤いヤツ” を数本日本に買って帰った。味が付いたトマトペーストに似ているのだけれど、パプリカのペーストはまだ日本で見たことがなかったからだ。
セルビアに行った理由
セルビアと聞いただけでピンときた方は、スポーツ好きかヘルシー志向が強い方かもしれない。一時話題になった、テニスプレイヤーのジョコビッチ選手のグルテンフリー(小麦製品を体内に摂り入れない生活)という名前もかっこいいジャンルが飲食業界に飛び込んできた。特に僕自身はアレルギーという訳でもないのだが、テニスプレイヤーのジョコビッチ選手の本を手にとって、小麦を抜く食生活をしたことでテニスの試合に勝てる強い身体を作ったという話で、そこに関心を寄せた。
旅するシェフをしていた僕はテニス選手ではないけれど、旅が仕事。体力勝負だったからこそグルテンフリーライフに挑戦してみたのだ。
そんな彼を追いかけ辿り着いたのがセルビア共和国だった。
当時一緒に仕事をしていた仲間から電話があって「セルビアに行かない?」といきなり誘われた。「えっ!?セルビア!?どこそこ?」と返事をした記憶がある。誘った彼はセルビア共和国のもう1つの名産#カイマックという乳製品を日本で展開できないか!?と、まずは料理人の僕と味も現場も確かめたかったという流れだった。
読んでいた本のジョコビッチ選手の出身国と彼からのお誘いの国がしばらく一致していなかった(笑)2〜3日後に「あれ、今読んでいる本のジョコビッチ選手の母国がセルビア共和国じゃないか」!!驚
凄いタイミングだった。本の中で知った、ジョコビッチプロデュースのテニスコートが付いたグルテンフリーレストラン「Novak」にもこれで行けると胸が膨らんだ。
パプリカのトンカツである
滞在中に訪ねたいくつかのレストランでパプリカの写真もたくさん撮った。一番僕の感性に響いたのがこの写真かな。
見た目は単なるキャベツの千切りとパプリカのシンプルなサラダなのだけれど、千切りキャベツで連想したのが日本のトンカツ。キャベツとトンカツ、どっちが主役かっていえば、お肉のトンカツでしょ!そのメインの座と同じ位置、盛り付けでやってきたのがパプリカだった。この国のパプリカ愛は凄まじいのだ。
スタンダードのヴィネグレットソースで頂くのだけど、そのパプリカが肉のように食べ応えがあり、実に本当に甘みと肉厚さで美味しいのである。これぞパプリカのトンカツである。もう僕の中ではパプリカにパン粉が付いてた。
このレストランでは、カイマックを纏った黄パプリカの前菜なども頂いた。横からスゥーッとウェイトレスが運んできたオニオンリングを耳に付けた子豚の姿焼きが出てきた時も驚いたが、食事中に楽器演奏してくれるロン毛のセルビア人男性と何度も何度も目が合いウィンクされた記憶もついでに蘇った。
旅は道連れ世は情け ということだ。
その晩はパプリカの赤のように情熱的な夜だったんじゃなかったっけな。夢か。
石川進之介が旅先で出会ったテーブルを彩るアイテムプレゼント!
お好みのパンとライスを買ってプレゼントを待ってみて欲しい!
セルビアの国民食とも言えるほど毎日の食卓に欠かせないパプリカのペースト、「アイバル」2種類(スパイシー&オリジナル)を3名様に
旧ユーゴスラビア“ セルビア王室” が王室所有の畑で造り続けたトリアンフとリージェント、土着品種プロクバッツを各2名様に
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