漁師はライフルをもって桜鱒をとる
僕にとって、桜鱒の存在は特別である。桜鱒って聞くと僕はワクワクしてしまう。なぜなら美味しいからである。
と言ってしまえばそれまでなんだけれど、桜鱒の体高がヒールを履いた時の女性のふくらはぎのようでなんとも美しく見えるのだ。
以前、北海道の島牧という日本海側エリアで桜鱒漁に出たことがある。漁師の朝はam3時と早い。僕はこのとき、前日の酒が残っていて眠かった。でも、愛する桜鱒を追いかけるためには、と乗船したのだった。網が仕掛けてある沖合までたどり着くや否や、ライフル銃が出てきた。
えッ!?なにナニッ!!?
そして僕の真横で海に向かって連射するではないか!?
ドゥンッッ(驚:汗)
凄い音で目どころか全身が覚めた。
表情が優しそうな漁師さんを選んで忙しそうな時を避けて聞いたら、「マスの網にトドが入りよるからヤツらをおどすんよ!!」
「トド!?」さすがは北海道の大自然。
大量に船へとあがったマス達はトドと変わらないようなデカいがたいをした漁師達にバットで頭を小突かれ、気絶&氷水の水槽へダイブしていく。作業のスピードが圧巻!これが船上LIVEの迫力。鱒たちを1秒に
10連射するほどのたたき具合でドラムを叩いている人のように見えた。開いた口が塞がらなかった。
そして鱒網に入ってしまい出てきた多種多様な魚達とマスを見ていると、頭や胴体の一部には歯型がついているではないか。尾っぽ部分しかないのもあった。
そうか、これがトドの仕業か、ヤツらもこのマスの美味しさを知っている。
春の香りがかすかに漂うと、桜と同時に僕もトドも桜鱒が待ち遠しい。
桜鱒・パスタ・ロゼ
去年、僕は北海道で桜鱒のパスタを作りプレゼントしてきた。それも北海道にあるワイナリーの畑で。
5月に、僕は北海道・余市で1つのワイナリーに偶然に出逢った。てんとう虫が草花をいったりきたりするように、今も毎月通ってサポートしている。てんとう虫を自称する僕の寄り場の1つである。
ワインエチケット貼りやコルク入れ、畑の草刈り、5年後に飲めるであろうスパークリングワイン用の葡萄苗の植樹に、収穫に、ウイヤージュ(ワインの量を樽の中を見て微調整する作業)から、醸造タンク洗い、ワインが出来上がるまでのイロハを滞在しながら体感させてもらっている。
通うにつれ農場とワイナリースタッフとも距離が縮まっていく。僕の前職が「旅するシェフ」だったことも早々に知れ渡ったようで、みんな僕の料理が食べたいとリクエストしてくれた。それで、滞在させてもらったお礼に、葡萄畑でのリミテッドパーティーを開催した。
畑を見させてもらった時に発見したフェンネルをたっぷり活用した。鮭科の身質とこのフェンネルの香りが口内でとっても瑞々しくマッチする。地元のスーパーをチェックして、桜鱒が氷のベッドで寝ているのを見つけた。魚屋の兄ちゃんに「1尾3枚おろしでお願いッ!」「へいよッ!!」と、捌いてもらっている間に、他の余市産食材も見つかった。
というわけで、農場の古民家のキッチンで仕込みを開始。爽やかな1皿に仕上げたかったから、桜鱒の身は畑のハーブとレモンでマリネしておいた。
仕上げは畑の中にみんなが作ってくれた即席キッチンで。このワイナリーの白ワインを豪快に入れて風味付けをした。たっぷりフェンネルとオリーブオイルも添えて。
作り方や味なポイントは、ただ黙々と料理をするだけでなくトークを交えながら魅せること。美味しさも笑顔も倍増する!
一期一会の素材で、余市に捧げる桜鱒のパスタの完成である。
桜鱒には鮭とはまた違う繊細さがあり、リンゴのピュレとも相性が良い。マリネや山わさびで頂く寿司などの生な感じもいいし、焼いておむすびにもいいし、醤油で頂くカツレツも美味である。
今年は、桜鱒の身の色と同じロゼワインを飲もうと、ロゼ色の夕陽を眺めながら僕がサポートしているワイナリーに話しをしたら、特別に2本だけ読者プレゼント用ワインまでGETしてしまった。
というわけで、石川進之介がGETしたワインと、旅先で出会ったテーブルを彩るアイテムプレゼント!
ご応募は、以下のフォームから。ご希望の賞品を「編集部への一言」にご記入ください。
ご応募の締切は3月15日(金)とさせていただきます。
プレゼントの応募は終了しました。
たくさんのご応募、ありがとうございました。当選者の発表は商品の発送をもってかえさせていただきます。
次回もご期待ください。