ラングドックワインとは?
セミナーは3部構成で、まず、CIVL(Les Vins AOC du Languedoc/ラングドックワイン委員会)のジェローム・ヴィラレさんからラングドックワインについての紹介があった。
地中海に面したラングドック・ルシヨン地方には23万5000haのブドウ畑が広がる。これは世界最大の面積で、東西350kmにわたる。ブドウ栽培に適した地中海性気候で、沿岸部あり山岳部あり、地形も土壌も多様性に富んでいる。ブドウ畑が最初につくられたのは2500年前のローマの時代にさかのぼる。ラングドックはフランスのブドウ畑発祥の地なのである。
いまさらながら、セミナーのタイトルのAOC(原産地呼称)というのは「Appellation d’Origine Contrôlée」を表すフランス生まれの概念で、2009年からはAOCにヒントを得て生まれたEU共通のAOP(Appéllation d’Origine Protégée/原産地呼称保護)と呼ばれる用語に変わった、はずだけれど、現場ではほぼ同じものとして両方が使われているようである。AOCは村、地区、もしくは畑単位、IGP(保護地理表示)は地方を表す。対象とする地域が狭いほど、ワインの格は当然、上がる。
ラングドックワイン全体を見ると、AOCは全体の14%、IGPは60%、SIG(vins Sans Indication Géographique/地理表示なし)は26%で、つまり上と中のワインが74%に達している。ラングドックはフランス最大の高品質ワインの生産地で、AOCとIGPを足したブドウ畑の面積はボルドーの3倍、コート・デュ・ローヌの4倍に達するという。
さらにAOCは3階層に別れていて、上から、クリュ、グラン・ヴァン、AOCラングドックと格付けされている。グラン・ヴァンは現在、決定している地区のほかに選定中の地区が12ある。ラングドックは、品質の向上のためにAOCの認定を積極的に取り始めたのが最近で、そういう意味ではものすごく古くて新しい産地なのだ。