熟す前に冬が来る
フミンはアオスタの土着品種の中で最も歴史が古く貴重な品種のひとつなのだそう。成熟がものすごく遅いため、寒い年だと熟す前に冬が来てしまうおっとり屋さん。栽培農家にしてみれば、はっきりいって扱いづらい。栽培がむずかしい。それゆえ栽培する人がサジを投げ、いつしか絶滅しそうになっていたそうな。それが20年ほど前から見直され、おそらくここ最近の土着品種ブームもあって、少しずつ復興してきた。
つくり手の「カーヴ・デ・オンズ・コミュヌ」は、イタリアの北西、フランスとスイスの国境に面したヴァッレ・ダオスタ州の州都アオスタの西部、アイマヴィル村に位置する協同組合で、設立は1990年と、そう古くない。220軒を数える組合員のブドウ栽培農家は、それぞれの土地で代々ブドウ栽培を続けてきた古ツワモノの家族経営者ばかりだという。
アルプス連峰の山岳地帯のため、標高は550〜800mと高く、急勾配の斜面に畑がある。機械の導入ができないので厳しい労働を余儀なくされる一方、そんな不便な場所だから自然な環境を守り続けることができる。虫剤などの化学薬品は使用せず、自然なブドウ栽培を行っているという。
肝心のお味の方はブルーベリーのような果実味があるという。「ヴァッレ・ダオスタ フミン」。飲んでみたいですねぇ。
カーヴ・デ・オンズ・コミュヌ
ヴァッレ・ダオスタ フミン 2015
原産地呼称 : ヴァッレ・ダオスタ DOC
種類 : 赤・フルボディ
品種 : フミン 100%
希望小売価格 : 2,300 円 (税別)
テイスティング・コメント : 北イタリアのフミン種から造られる赤ワイン。北限の産地とは思えない赤紫の色調がしっかりしたワインとなる。赤い果実、バラ、スパイスの香りが広がり、しっかりした酸味が魅力。
この記事を書いた人
- 東京生まれ。信州人になりたいとおもっている。パリ大学でフランス文学の研究をしていた。果物の仕事をしてから、ワイン業界へ。
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