海と山からの風が交わるブドウ畑
L’Azienda Agricola Monti Cecubi (http://www.monticecubi.it/la-nostra-storia) はローマからナポリ行の電車で1時間半南西のITRIという古い町にあります。
ワイナリーは後方にMontiAurunci国立公園があり、保養地で有名なSuperlongaの海からほど近い、海抜約200mの丘陵地帯に位置し、樫の木やオリーブ林などに囲まれています。
古代ローマ時代からこの地はワインの産地として知られていました。
醸造家Chiaraはブドウ畑で育ったため、幼い時からワインの道を志し、ボルドーとイタリアTusciaの大学で醸造学を学び、大手のワイナリーで醸造家として働いた後 2013年からこのワイナリーでブドウ畑、醸造、マーケティング全てを担当しています。
5月初旬の畑では、もうブドウの葉の生長期を迎え青々としています。ブドウ畑では農薬、除草剤化学肥料等は数年前から使わず今年の収穫分からオーガニック認証を取得する予定です。
いにしえの時代に思いをはせながら試飲
白ワインはヴェルメンティーノ、フィアノ、ファランギーナなどカンパーニャ州にも近いためかイタリア南部の白ワイン品種を取り揃えています。
どのワインのエチケットにもにもこの地の伝説の怪物である蛇のような生き物の紋章がつけられ、ワイン名も神話に由来しています。
門外不出の土着品種ABBUOTO
特筆すべきは土着品種赤ブドウ種ABBUOTOです。
VINO CECUBOと呼ばれ、古代ローマ時代から皇帝達に評価され、詩人ORAZIOによるとクレオパトラも愛飲し大切に保管して法王との宴席でのみふるまったという歴史あるワインです。
紀元前2世紀頃からこの地のワインは交易により、はるかスペインやフランスまで輸出されていたそうです。
L’Azienda Agricola Monti Cecubi ではABBUOTOの古木を基に15年前に栽培に着手し、長年の研究と実験を経て2015年ついに甦らせることに成功し初めてのボトリングをしました。
ABBUOTOは非常に栽培が難しい品種で、この地域の外で栽培を試みたものの成功せず、今ではL’Azienda Agricola Monti Cecubiだけが栽培、醸造をしているそうです。
醸造中に退色しやすいという難点を今も克服し今も品種の個性を引き出すべく試行錯誤を繰り返しています。力強くしっかりとした骨格があり、小さな森の果実の香りとカカオやコショウの後味と最後の引き締まるような苦味が特徴です。
それは美しく凛として、ひたむきにワイン造りに向きあうChiaraの芯の強さと重なる気がするのです。