渋沢栄一とレンガ
平成最後のクリスマス、忘年会に新年会。皆さんは、どんなお酒で乾杯しますか?
今回は、清酒出荷量全国4位の埼玉県の酒蔵をめぐるバスツアーに添乗し、そこで出会った、世界初という、ピンク色のスパークリング日本酒をご紹介します。
埼玉県深谷市。深谷、というと、“深谷ネギ”がまず頭に思い浮かぶ方が多いと思いますが、深谷は“煉瓦の街”でもあります。深谷には明治20年(1887年)から操業を続けている日本煉瓦製造株式会社というレンガ工場がありました。この会社は郷土の偉人・渋沢栄一氏により設立され、東京駅をはじめ明治から大正にかけて多くの近代建築物にこの会社の煉瓦が使われています。
滝澤酒造の泡
滝澤酒造は、文久三年、埼玉県小川町にて創業。明治三十三年に地の利と水の利を求め、中山道深谷宿の街道沿いに蔵を構えました。以降、全高20メートルを超える煉瓦製の煙突をシンボルに、深谷の地酒として愛されています。
蔵元杜氏である滝澤英之氏が、新たな挑戦のひとつとして、透明で、ひとすじ泡が美しい「ひとすじ」を開発し、平成二十八年設立のawa酒協会よりawa酒(あわさけ)として認定されたのは、日本酒業界では耳に新しいニュースかと思います。この「ひとすじ」は、瓶内二次発酵後、ルミュアージュに相当する作業で澱を瓶の口にあつめ、ネックフリーザーで凍結させてデゴルジュマンするという、まるでワインのような方法で造られています。リキュールを添加するドザージュは日本のルール上認められていないので、ノンドザージュ。また、酒米はスパークリング用のものがあるわけではなく、地元埼玉県の酒米である「さけ武蔵」や最近、埼玉県の酒米に認定された「五百万石」を使っているそうです。
※(一社)awa酒協会のサイトはこちら
http://www.awasake.or.jp/
こちらは、透明な発泡性純米酒です。上品な甘みと酸味、そしてキリリと引き締まった飲み口が、和洋問わず食事にもよく合うと好評。
そして2018年11月、新たな商品が誕生しました! クリアなピンク色のスパークリング日本酒「ひとすじロゼ」
ラベルと、カートンのデザインは女性を意識されたそう。“ひ“の文字が愛らしい。
なぜ日本酒がロゼ色になるのか
一口含むと、ふわっと、いちごのような甘酸っぱい香りが広がり、上品ながらやや甘めの味わいがとてもチャーミングなスパークリング日本酒です。
食事と合わせてというよりも、乾杯に、そして、デザートとよく合うと思いました。
特に、いちごのショートケーキなど、ズバリなペアリングでは?
この味と、ピンク色を生み出しているのは、日本酒造りに欠かせない“酵母”。このお酒は、赤色酵母という酵母を使用しているそうです。この酵母は、清酒酵母の核酸のひとつ「アデニン」を自分で生成することができないので、それを補ってやる必要があり、発酵力は弱くなるなど、難しい酵母。さらに、酵母自身が赤くなることで、酒が赤く見えるので、澄んだ日本酒を造ろうと澱引きすると、せっかく、赤色酵母をつかってもほとんど酒に色がつかないそうです。結果、これまでのロゼ色の日本酒は、赤い色の米を使っているか、赤色酵母によってピンク色になっていても、桃色濁りなど、濁り酒でした。
「この「ひとすじロゼ」に関しては、濁りを取り去るところが一番苦労した点で、透明なピンク色で本格的なスパークリング日本酒は世界初です。が、実は、先の「ひとすじ」の商品開発の方が、はるかに時間がかかりました。」
と、開発秘話を教えてくださった滝澤社長。
笑顔が「ひとすじ」のように爽やか
2020年東京オリンピックに向け、日本酒業界も、様々な挑戦、取り組みを行っています。
日本に来たらぜひ、日本酒で乾杯!してもらえるよう、外国人観光客にお勧めしたいですね。
ちなみに、2019年1月19日(土)のお昼に開催する、フレンチ✕日本酒の新年会には、滝澤酒造の滝澤社長も参加。「ひとすじ」、「ひとすじロゼ」も試飲できます!
詳細はこちら
http://osaketei15.com/girls-party/shinnenkai-information/
ワインファンの方にも、「ひとすじ」、「ひとすじロゼ」をはじめとする、ワインのような造りのawa酒、この年末年始にぜひ、お試し頂きたいと思います。