WINE WHAT onlineには久々登場の日本酒ソムリエ 磯野カオリさんが、日本酒と温泉の専門ユニット「JapanesQueen」の活動で、憧れの「星のや東京」を取材で訪れ、“コース料理とワイン&日本酒のペアリング“という体験をしてきたとのこと! このページは、そのレポートです。
発酵をテーマに ワインと日本酒のペアリング体験
星のや東京にて
隠された発酵食材を探せ!
大手町という、東京の真ん中に佇む、日本旅館、星のや東京。
青森ヒバの一枚板のドアが開き、一歩足を踏み入れた瞬間から、“特別なとき“がスタートしました。
地下ダイニングの個室にて。
行灯が仄かに灯る静謐な空間で、「Nippon キュイジーヌ~発酵~」を頂きました。
料理長の浜田氏は、世界的なコンクールでの受賞歴がある実力派。
“日本固有の食材が集結する東京だからこそ、日本でしか食べられない料理を一品でも多く作りたい。それが東京に唯一の日本旅館の使命でもあると考えています。”と語られています。
シンプルなメニューは、想像力を働かせてもらいたいからだそう。具体的な料理名ではなく、漢字一文字のテーマと、食材のみを表記しています。
一品一品に、醤油麹や味噌などの調味料の他、様々な発酵食品が使われているとのこと。
宝探しのプチトリップが、スタートです!
萌 ふきのとう
落ち葉の中に、ふきのとうのパイ包みが隠れていました。最初から、サプライズな仕掛けが楽しい!
こちらには、ふき味噌が使われています。
ペアリングは、ロゼのシャンパーニュ。華やかな外観と甘酸っぱい味わいが、春らしく、気分を盛り上げます。
ペアリングワイン
CHAMPAGNE CUPERLY(シャンパーニュ キュペルリー)
GRANDE RÉSERVE ROSÉ GRAND CRU BRUT
フランス/モンターニュ・ド・ランス
石 五つの意思
左から、酸味 塩味 苦味 辛味 甘味、という五味のプレート。
石の上に、一口サイズのお料理が乗っています。料理によって、石も、温かかったり常温だったり、冷やされていたり。心づくしのおもてなしを感じ入りました。
発酵食品もそれぞれ、柴漬け、トマトの発酵ペースト、腐乳、生しらす唐辛子漬け、豆腐ようと、バラエティ豊かなものが使われています。
何を使っているのかは、種明かしをされないとなかなか当てられませんでした。
こちらのお皿まで、先ほどのロゼシャンパーニュがお供です。どの料理にも、爽やかなスパークリングが心地よく寄り添います。
熟 鰆
魚へんに春と書いて、サワラ。旬の食材を、目と舌両方で味わえるのは最高の贅沢です。
こちらには、トマトを発酵させた朱い醤油が使用されています。
合せたのは、ポルトガルの白ワイン。まろやかなテクスチャで、コクのある味わいの白。
日本酒ももちろん合うと思いますが、こういうタイプの白ワインなら、相性抜群ですね。
ペアリングワイン
SOALHEIRO(ソアリェイロ)
Soalheiro 2018
ポルトガル/ヴィーニョ・ヴェルデ
滴 かぶ 蛍烏賊
かぶの歯ごたえ、新鮮な蛍烏賊の心地よい苦み。左側にある茶色のものが、腸詰めの一種、ブーダンをホタルイカで作ったソース。緑色のソースは、カブの葉をジェノベーゼに仕立てたソースで、カブの葉のサラダを、シェリービネガーとたまり漬けマスタードであえています。この2種類のソースがたまらなく美味でした。
この、奥深い味わいの一品には、ワインと日本酒、両方のペアリングを試させて頂きました。偶然にも、同じ栃木県で造られたものというのも興味深い。
ワインは、甲州のオレンジワイン。果皮ごと発酵させているため、爽やかさと共に奥深さとほのかな苦みもあり、相性の良さは折り紙付き。日本酒は、惣誉の生酛。伝統的な製法の生酛は、しっかりした乳酸を感じます。料理を、優しく包み込むような組み合わせでした。
ペアリングワイン
ココ・ファーム・ワイナリー
甲州 F.O.S. 2018
日本 栃木県
ペアリング日本酒
惣誉酒造
生酛仕込
日本 栃木県
蕩 牛
蕩ける(とろける)がテーマの一皿。
なんと、牛肉の上に、魚醤でヅケにした中トロが乗っています!これはもう、贅沢すぎて、美味しい以外の言葉が見当たりません。
これにどんなお酒を合わせたのか、というと、
ワインは、ブルゴーニュの赤。ビンテージは2010年。上品で、しっかりした深みのある味わいが、メインディッシュに負けません。
日本酒は、新政のヴィリジアン。カラーズシリーズの中でも、厚みと余韻を感じられる一本なので、しっかりと料理と向き合い、料理の旨味が倍になったような感を覚えました。
ペアリングワイン
Domaine Maréchal
Savigny-les-Beaune 1st Cru 2010
フランス/ブルゴーニュ
ペアリング日本酒
新政
ヴィリジアン
日本 秋田県
デザートとお酒とのペアリングは今回はありませんでしたが、ワインと日本酒、双方合わせてみたら面白いでしょう。
日本酒もワインも、発酵させて造る醸造酒の仲間。発酵食品を使った料理とのペアリングはとても楽しかったです。
時間をかけて、ゆっくりと味わったディナーはまさに、至福の時でした。
一皿一皿が、アート。
更に、美しい・美味しいだけでなく、それを超えた「アクティビティ」でした。
“食事とは何か。”を、改めて考えさせられました。
この記事を書いた人
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日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)認定 酒匠 / 焼酎唎酒師 / 日本酒学講師
SSIインターナショナル認定 国際唎酒師
2019年には日本ソムリエ協会(JSA)認定 SAKE DIPLOMA 取得
ANSA認定 Sommelier
横浜 桜酒亭(おさけてい)代表。
ワイン好きな方に、すこしでも、日本酒の魅力を知ってもらいたい。そして、わたしも、ワインの魅力を知りたい。
日本酒ファンとワインファンの架け橋となるのが、わたしのミッションだと思っています。そのための佳き出逢いを、皆さまに、ご提案いたします。
http://osaketei15.com/
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