もうすぐ創業200年
フランス、シャンパーニュ地方、ランスから車で南東へ30〜40分ほどの位置にあるシャロン・アン・シャンパーニュに産声をあげ、もうすぐ創業200年を迎えるシャンパーニュメゾン、ジョセフ・ペリエ。家族経営で現在5代目、世界のVIPの喉を潤すシャンパーニュといっても過言ではないでしょう。
先日、プロモーションのため来日した取締役オットー・プシュヴィラ氏を囲んだランチセミナーが行われました。たくさんお話をうかがってきたので、ご紹介したいと思います。
かつてはシャロン・アン・シャンパーニュにも数軒のメゾンがありました。時代の流れでランスやエペルネへ移転してしまいましたが、ジョセフ・ペリエはガロ・ロマン時代にローマ人によって掘られた採掘跡をセラーとして有していることからとどまり、シャロン・アン・シャンパーニュにある唯一のシャンパーニュメーカーとなっています。
実際にテイスティング&お料理とのペアリングを楽しみながらお話をうかがいます。
ジョセフ・ペリエ、キュヴェ・ロワイヤル ブリュット NV。イギリスのヴィクトリア女王(在位:1837年6月20日〜1901年1月22日)、エドワード7世(在位:1901年1月22日〜1910年5月6日)に愛され、王家御用達となったことからCuvee Royale = ”王家のキュヴェ”を名乗ることが許されています。
2011年のウィリアム王子とキャサリン妃の結婚式では、新郎新婦の誕生年である1982年のヴィンテージがふるまわれたそうです。
2012年にはノーベル賞の晩餐会で供され、乾杯の掛け声のあと、受賞者たちの喉を潤しました。
フルーティ&フローラル、キリッと酸が爽やかで、口当たりがよくて、親しみやすくもあります。乾杯からアペリティフまで、楽しまれるシーンの幅が広いシャンパーニュと言えるでしょう。
和の器に華やかにあしらわれたお料理は、繊細で、なめらかな舌触り。シャンパーニュのキリっとした爽やかさに華やぎます。
続いてのシャンパーニュは、キュヴェ・ロワイヤル ブラン・ド・ブラン NV。シャルドネ100%でつくられたこちらのシャンパーニュは立ちのぼる香りにヴォリ伴い、味わいにリッチさが感じられます。
ペアリングのお料理には『地養鶏腿肉のコンフィと秋野菜のポトフー仕立て クレーム・シャンピニオンのブルーテとそのソテー 白トリュフ油風味 貝類の泡雪を掛けて』。香り・食感ともに存在感が加わったお料理は、ブラン・ド・ブラン NVのリッチさが相乗効果となって食欲が増します!!
また、こちらのポトフにキュヴェ・ロワイヤル ブラン・ド・ブランを入れて、”ちょい足し”して味わってみましたよ。お料理とシャンパーニュを交互に味わうのとはまた異なり、旨みと美味しいが重なって、わー! っと開眼!! これは面白い実験でした!
次のシャンパーニュはロゼ キュヴェ・ロワイヤル ブリュット ロゼ NV。ピノ・ノワール75%、そのうちキュミエール村のピノ・ノワールを12%使用。キュミエールのピノ・ノワールは軽快さが特徴です。
鮮やかな色調、スパイシーでタンニンや収斂性も持つ、骨格のしっかりさが感じられます。ターメリックや乾燥トマトのスパイシーでエキゾチックな風味を持つお料理が、エレガントさと力強さを併せ持つこちらのロゼ・シャンパーニュとよくあいます。このペアリングにはスパイスが要のようです。
キュヴェ・ロワイヤル ブラン・ド・ノワール 2009 VT ブリュット ナチュール。たいへん複雑な風味です。熟した果実を超え、スパイスを加えて煮込んだコンポートのようで、マチュアな味わい。
あわせたお料理は、『神奈川県産・やまゆりぽーくロース肉の網焼き 牛蒡風味の黒胡椒ソース じゃが芋のグラタン・緑茶風味とLED横浜菜園サラダ添え』。シャンパーニュのマチュアな味わいとお肉のテクスチャーやソースの熟成感がマッチしていました!!
最後に登場するシャンパーニュは、キュヴェ・ジョセフィーヌ 2008。質のよいぶどうが獲れた年のみに生産されるキュヴェで世に出されたのは、これまででたったの9ヴィンテージ。熟成期間は最低でも7年ですが、非常に若々しくフレッシュで、エネルギーをも感じます。フルーティさ、熟成感がもたらすコクのバランスがよく、オットー・プシュヴィラ氏は「一番いいものがボトルに詰まっている、まさに神髄」とおっしゃっていました。特別なシチュエーションに華を添えるシャンパーニュがこのキュヴェ・ジョセフィーヌであったなら、幸福感が何倍にも増幅させてくれこと、間違いないでしょう。
テイスティングではさらに、泡を活かしつつデカンタージュを行ってみました。デカンタされたキュヴェ・ジョセフィーヌ 2008はよりクリーミーで、温度が少し上がったこともあり、ふくよかでよりリッチに、しかし繊細さと上品さは失わない、別の表情を見せてくれました。プシュヴィラ氏の提案と「霧笛樓」のソムリエの技により、シャンパーニュの奥深さを知る一幕でした。
ジョセフ・ペリエは「イギリス王室御用達」という特権にあぐらをかくことなく、昨年からボトルやコルクを変え、進化を怠っていません。そんな老舗メゾンの生産地シャロン・アン・シャンパーニュをいつか訪れ、その真価をもっと深く知りたいものです。