ワインに責任をもつということ
「ワインって簡単に作れるんですよ」
こう話すと、驚かれる方が多いのですが、本当です! ブドウを潰して、放置して発酵させて、1~2週間すると、ワインのできあがり。
家庭内で消費するワインなら自由に造って問題ないのですが、それを販売するとなったら話は変わります。どんな製品でも、品質を安定させることはとても重要。
同じワインを買ったのに、ボトルによって全く味や香りが違っていたらお客さんは困ってしまいますよね。また、特に大きな企業の場合、少しでも異常のある製品が出荷されてしまうと、回収や補償をしなければならず、対応に多額の費用がかかる上、一度落ちた信用を取り戻すのは大変。
そこでクオリティコントロールが重要になるのです。このクオリティコントロールに大きく関わっているのが「ラボ」なのです。
ワインは化学とアートのコラボレーション。では、ラボの役割とは?
ワイン造りに関わる仕事はたくさんありますが、大きく分けると、ヴィンヤード(畑)とセラーの2つの柱があります。ラボの仕事はセラーに分類されます。
ラボの主な役割は、フルーツやジュース、ワインの状態をチェックすること。大きな会社では畑・セラー・ラボにそれぞれ責任者がいる場合が多いですが、小さなワイナリーではひとりで全部こなすこともあります。ラボの設備を持っていないワイナリーや、より複雑な成分の検査が必要な場合は、専門の会社に委託することもあります。
どんなに小さなワイナリーでも、ラボの作業は大切。味やにおいは主観が大きく作用するので、人によって感じ方が違います。そこで、数値で客観的に測定する必要があるのです。数値はブレませんから。ワインのさまざまな要素を数値で確認することで、ワインのできあがりの状態を予測できたり、現状を客観的に判断したりすることができるのです。
ラボが数値を計測して確認する主な項目には、糖度、酸度、pH、亜硫酸濃度、VA(バクテリアに汚染されていないかを測る数値)等があります。ラボには、これらのデータを定期的に測定する、ワインに問題が起きた際に検査をして原因を探る、添加物を入れる際にどれくらいの割合がベストなのかをテストするといった仕事があります。
ラボはまさに実験室。たくさんのビーカー、フラスコ、秤、何度聞いても名前の覚えられないたくさんの薬品や機械・器具がずらりと並んでいます。
わたしは理系科目が大の苦手だったので、「どうやって作業するか」は分かっていても、「なぜこの方法でこの数値がだせるのか」が未だに理解できていないところもあります。
実際にラボでどんな作業が行われているかは、また別の機会にご紹介したいと思います!(ちょっとマニアックな話になるかもしれませんが…)