今から18年前、一年ぶりに再会したイタリアの友人から小さな包みを渡された。
わたしが日本に発つ前日のこと、中を開けてみると、銀色に輝くタツノオトシゴとヒトデだった。「これは?」と聞くと『ほんの気持ち』と答える友。そのときはじめて聞いたのが『pensieroペンシエロ(思いやり)』という言葉。イタリア語にこんなに謙虚な言い方があったのか、日本人みたいだなぁ…と思った。
普通、贈り物はregaloレガーロ(小さな贈り物はregalino レガリーノ)という。「プレゼント」であることに変わりはないのだが、『ペンシエロ』には、仰々しさがなく、相手の負担にならないように(お返しなんていらないよ)、というような、気くばりが感じられる。なんとも奥ゆかしい。わたしはこの『ペンシエロ』が好きである。誕生日や記念日の「プレゼント」は、もちろん嬉しいのだけれど、普段の日のなんでもないときの、ささやかな「贈ったり贈られたり」がわたしには好ましい。贈られる相手が喜ぶことはなんだろう、とあれこれ思い巡らすのは贈る側にとっても楽しみとなる。大切なのは『気持ち』なのだから。
画像は、わたしが受け取った、友人や家族からの『ほんの気持ち』、カタチは小さくても愛と優しさに満ちている。
※pensiero:イタリア語の発音は「ペンスィエーロ」が近いです。外国語にルビを振るのは難しいです。考え、思考、気持ち、心配などの意味があります。英語の thoughtにあたります。