ワインショップ、ウィルトスさんにて
青山通りからキラー通りに出て千駄ヶ谷方面に歩くと、2020年東京オリンピック開催に伴い再開発が予定されている霞ヶ丘団地を臨む一角。いつも美しい花々で飾られたワインショップ、ウィルトスさんはこの一角にあります。
「シャルドネを飲み比べながらプロの説明を聞きたい」という私の思いつき(?)から企画開催された「夏のシャルドネを楽しむ会」。ワイン愛好家、料理研究家、ワイン留学を控えた方々が集まり、新旧世界のワインを集め、飲み比べてみました。
シャルドネというぶどう品種は、「特徴がないのが特徴」という人もいるくらい、いわゆるテロワールを反映し、つくり手の個性が映えるぶどう品種です。ここに集まったワインはどんな個性を見せてくれるのでしょうか。ワインをご紹介しましょう。
まずは旧世界フランスのシャルドネ3種類。シャンパーニュ1種類と、ブルゴーニュワイン2種類です。
シャンパーニュは、生産者ジャン・ルイ・ヴェルニョン、「コンヴェルサシオン ブリュット ブラン・ド・ブラン」。シャルドネの聖地と呼ばれるコート・デ・ブラン地区のグラン・クリュです。世界一密度の高い白亜石灰質土壌とも言われ、ミネラルを豊富に含み、エレガントさに定評があります。
ブルゴーニュワインのひとつは、生産地シャブリ。地域的にはシャンパーニュに近く、土壌も似通うところがあります。生産者ルモワスネ、「アミラル・ヴェルノン シャブリ 2009」。樽を使ったタイプのシャブリで、2009VTということ、すでに7年の熟成を経ていることもあり、ふくよかな厚み、複雑さのあるワインです。
そして、ブルゴーニュワインのもうひとつが生産地コート・シャロネーズ地区のメルキュレ 「リュー・ディ・レ・シュノー テウロ・ジュイヨ 2014」。シャブリから遠く離れ、かなり南下した地域です。日照が豊かでぶどうがよく熟すことで知られています。美しい酸を持ちあわせてもいます。
さあ、新世界です。
日本のワインからは2種類。まずは「ヴィノブル ヴィンヤード、シャルドネ 2015」。広島県三次市の新しいワイナリーがつくる、樽を使わず、フルーティ&フレッシュさを保ったワイン。クールな印象を持つワインですね。
もうひとつは「奥尻ワイナリー、シャルドネ 2014」。北海道奥尻島のワインです。1993年の北海道南西沖地震により津波の被害をうけた島。土地は塩を含む土壌と言われ、ぶどうがそのミネラルの影響を顕著に受け育ちます。テーブルにあるセルバチコというルッコラの原種と、シャルドネを口に含んであわせます。フレッシュさに目が覚めますよ。
そしてメキシコ、「カサ・マデロ、シャルドネ 2014」。創業はなんと1597年、日本の歴史で言ったら戦国時代も大詰め、といったところでしょうか。南北アメリカで最古のワイナリーと言われ、メキシコに入植した人々が欧州系のブドウを植え、歴史を今に伝えているワイナリーです。
最後はニュージーランド、ピラミッド・ヴァレー、「ライオン・トゥース シャルドネ 2009」。世界中を探し求めた生産者が、ついにたどり着いたニュージーランドでワイナリーを拓き、ビオディナミを実践し、理想郷を作り上げました。
生産者いわく、「ワインはまるで岩の瓶に閉じ込められた精霊のようであり、それをうまく引き出そうとしているだけ」。ブルゴーニュやモーゼルで研鑽した生産者のワイン、ぜひお試しください。
「やってみたい」という思いから、世界中から7生産者の、シャルドネのみのワイン会が開かれました。ウィルトス中尾社長のレクチャーを聞きながら、参加者のみなさんと意見交換をしながら、また食材と併せ会話を楽しみ、夏の思い出のひとページを彩る、素敵な会となりました。
星の数ほどありそうなワインのほんの、ほんの一部でしたが、個性を持たないシャルドネの七変化、皆さんも楽しんでみてはいかがでしょうか。
ワインショップ、ウィルトスさんでは、毎週のようにイヴェントを開催しています。のぞいてみると、新たな発見があるかも。
ウィルトス HP:http://www.virtus-wine.com/