ワインでパン飲み!

その4 ベーグルに合うワイン

「パンとちょっとしたおかずをつまみに、ワインを楽しむ。」
そんな“パン飲み”を、家で気軽に楽しむコツを具体的に紹介する連載企画。
料理は得意じゃないという人にもできる簡単ペアリングを試してみよう!

協力/丹下慶子

Text:Yoshihiko Sano Photos:Tetsuhito Ishihara

パンの種類ごとに探究していくこの連載。毎回テーマとして取り上げるパンの「香り・食感・味わい」にフォーカスしな
がら、ちょい足し食材とワインのおいしい組み合わせを紹介していく。

第4回のテーマは「ベーグル」。通常のパンとは異なり、バター、卵黄、牛乳などの動物性の油脂は不使用。発酵も1回のみで、成形後に茹でる工程があり、独特の弾力ある食感につながっている。諸説あるが、中世のポーランドでユダヤ人が作った「オブヴァジャネック」が起源というのが通説で、その後、アメリカに渡ったユダヤ人が広めたことから「ニューヨークが本場」と言われるようになったようだ。

プレーン以外にも、ゴマやスパイス、フルーツなどで風味づけされたものがあり、日本ではややソフトな食感のものも多い。特徴あるベーグル3種で、おすすめのペアリングを紹介しよう。

本場NYのどっしりみっちり系にはクリーミーな泡で果実味があるカバ

プレーン
マルイチベーグル 260円(1個/税込)
[香り] 小麦粉由来の甘くやさしい香り
[食感] どっしりと噛みごたえ十分
[味わい] シンプルな粉の甘みとまろやかな塩味
[ちょい足し] スモークサーモン+クリームチーズ

Cava Brut Reserva 2017
ロジャーグラート 2,130円
[生産国/地域] スペイン/ペネデス
[格付] DOカバ/レセルバ
[品種] チャレッロ、マカベオ、パレリャーダ
[輸入元] 三国ワイン

北海道産小麦粉を使い、NYの名店「Ess-a-Bagel」の手法で仕上げたというプレーンタイプには、王道のサーモン&クリームチーズを。かなり生地が詰まっているベーグルなので、ワインのお供にするならサンドイッチよりもカナッペ風に仕立てると食べやすく、“口内マリアージュ”にかかる時間が整う。ワインは、果実味と熟成感のバランスが取れた辛口のカバを。心地よい泡、青い柑橘の皮のような香りとやわらかな酸味が、食べ応えあるベーグル生地、トッピング具材のしっかりした味とマッチする。

国産素材のしっとりもっちり系に柑橘香&ほんのり苦味がある甲州

和ベーグル・レモン大納言
ケポベーグルズ 250円(1個/税別)
[香り]  ほのかなレモンと麹の香り
[食感]  しっとり&もっちり
[味わい]  麹の甘味、レモンの苦味、小豆の甘味
[ちょい足し]  なし

山梨甲州 2019
シャトー・メルシャン 1,850円
[生産国/地域]日本/山梨
[品種]甲州
[販売元]メルシャン

国産小麦と麹由来の天然酵母、和の食材を使い、もちもちとした食感にこだわった「和ベーグル」シリーズの一つで、レモンのさわやかな酸味と苦味、こっくりした小豆のやさしい甘味が融合している。これには“和のワイン”で、同調する風味を持つ白を合わせたい。和柑橘の皮の香りと苦味、心地よい酸が効いたこの甲州は、まさに打って付け。麹がふわりと香るベーグル生地に練り込まれたレモンピールにはフレッシュな苦味があるので、とてもよく馴染んで“しみじみ旨い”ペアリングになる。

シナモン香が豊かな弾力ソフト系に黒系ベリーの濃醇なシラーズ

シナモンレーズン
BAGEL & BAGEL 190円(1個/税別)
[香り] シナモンの香りがしっかり
[食感]  弾力があるが、ややソフト
[味わい]  生地自体にも甘味あり
[ちょい足し]  黒胡椒+メープルシロップ

Reserve Limestone Coast Shiraz 2018
ジェイコブス・クリーク 1,632円
[生産国/地域] オーストラリア/南オーストラリア
[品種]シラーズ
[輸入元] ペルノ・リカール・ジャパン

シナモンレーズンのベーグルはNYでも定番だが、これはベーグルを食べ慣れていない人にもおすすめの、少しやわらかな食感で甘味も十分。そのままだとコーヒーとよく合うが、ワインとの相性を高めるには、ひと工夫を。横半分にカットして1分ほどトーストして、黒胡椒&メープルシロップをプラス……これで、菓子パンから“つまみ”に変わる。樽香とスパイス、チョコレート、熟したブルーベリーの風味がしっかり堪能できる赤ワイン、豪州の上質なシラーズが飲みたくなること間違いなしだ。

この記事を書いた人

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佐野嘉彦
留学先のスペインで、ワインと食に開眼! 食の専門誌の編集やワインスクールでの講師などを経て、現在はチーズ、ワイン、日本酒、ビール、コーヒー、パンなどをテーマとした企画や執筆、セミナーなどを展開中。

www.sembrar.jp
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