ワインでパン飲み!

その3 クロワッサンに合うワイン

「パンとちょっとしたおかずをつまみに、ワインを楽しむ。」
家で簡単に楽しめる“パン飲み”。手軽だけど贅沢感もあるペアリングを実践してみよう!

協力/丹下慶子

Text:Yoshihiko Sano Photos:Yuriko Tsuchida

パンの種類ごとに探究していくこの連載。毎回テーマとして取り上げるパンの「香り・食感・味わい」にフォーカスしながら、ちょい足し食材とワインのおいしい組み合わせを紹介していく。

第3回のテーマは「クロワッサン」。フランス語で「三日月」を意味するパンで、17世紀にオスマン帝国(今のトルコ)に勝利したウィーンの人々が、オスマン帝国の象徴でもある三日月を象ったパンを作って食べたのが発祥という説がある。

クロワッサンは「ヴィエノワズリー(ウィーン風のパン=食事パンとお菓子の中間的なパン)」として分類されることもあって、なんだか納得。でも、生地にバターが折り込まれたクロワッサンは、20世紀のフランスで生まれたようだ。

そして今や、形状も材料も多様なクロワッサンが世界各国で誕生。特徴あるクロワッサン3種で、おすすめのペアリングを紹介しよう。

芳醇なバター香るプレミアム系に華やかで香ばしいスパークリング

クロワッサン フランセ
メゾン・ランドゥメンヌ 490円(1個/税別)
[香り] 超リッチなバターとしっかりした香ばしさ
[食感] 皮はクリスピーで、生地の層は軽やか
[味わい] 重たくない甘味に、ほのかな塩気
[ちょい足し] トリュフバター(キャビア・ド・ヌーヴィック)

Ferrari “HOMMAGE”
フェッラーリ 5,200円
[生産国/地域] イタリア/トレンティーノ
[格付] トレントDOC
[品種] シャルドネ
[輸入元] 日欧商事

モンテギュバター(フランスAOP発酵バター)をたっぷり使用したこの逸品は、三日月形ではなく、バター入りクロワッサン伝統の菱形。食感も味わいも軽やかだが、バターの香りと焼皮の香ばしさが芳醇なので、やはり同様の香りがある瓶内二次発酵の泡を合わせたい。今回のおすすめは、日本限定のスペシャル・キュヴェとして造られたプレミアムなイタリアの泡。バニラやイーストの香りの余韻が長く続くワインで、ペリゴール産の黒トリュフが入ったバターをちょい足しすれば、さらに華やぐ。

岩塩&ゴマが効いた甘じょっぱい系にシチリアの重層的なメルロー

プレッツェルクロワッサン
THE CITY BAKERY 330円(1個/税別)
[香り]焼成とゴマからくる香ばしさ
[食感] みっちり詰まっているが重くない
[味わい] 生地のしっかりした甘味&岩塩の塩味
[ちょい足し] パストラミ+ルッコラ+バルサミコ

Sito dell’Ulmo Merlot 2014
プラネタ 5,500円
[生産国/地域] イタリア/シチリア
[格付] シチリアDOC
[品種] メルロー
[輸入元] 日欧商事

NY生まれのクロワッサンで、形状も味わいもプレッツェルの要素が組み込まれた個性派。トッピングの岩塩&ゴマの風味と生地の甘味のバランスがよく、そこにパストラミビーフ、ゴマの風味があるルッコラ、うま味とまろやかな酸があるバルサミコをプラス。ワインは、熟した果実味とほのかな樽香があり、シルキーなタンニンと酸がある赤を選びたい。今回はその条件をすべて満たす、シチリアの単一畑の上質なメルローを。それぞれの個性が重なり、見事なハーモニーを奏でる。

日本発の焼きたてカワイイ系に果実味豊かなフルボディーロゼ

ミニクロワッサン
ジョアン 168円(100g:4~5個/税込)
[香り]シロップとバターの香りがしっかり
[食感] 焼皮はサックリ、生地はしっとり
[味わい] バターのコクと懐かしい甘味
[ちょい足し] ツナマヨ、トマト&モッツァレラなど

Rosa dei Masi 2018
マァジ 2,700円
[生産国/地域] イタリア/フリウリ
[格付] ヴェネト ロザート・デッレ・ヴェネツィエ IGT
[品種] レフォスコ(伝統品種)
[輸入元] 日欧商事

シロップを塗って仕上げる小さなクロワッサンで、キャラメルポップコーンのような、どこか懐かしい甘味があるのが特徴。これに、ツナマヨ、カプレーゼ、カマンベール&リンゴジャムなど、お好みの具材を挟めば、見た目にも楽しいフィンガーフードが完成。ワインは、幅広い料理に合う辛口のロゼがおすすめで、陰干ししたブドウを15%ほど使って醸すというこのフルボディーのロゼがイチオシ。チェリーの香りとフレッシュな酸味もあって、クロワッサンのプチサンドにぴったり!

この記事を書いた人

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佐野嘉彦
留学先のスペインで、ワインと食に開眼! 食の専門誌の編集やワインスクールでの講師などを経て、現在はチーズ、ワイン、日本酒、ビール、コーヒー、パンなどをテーマとした企画や執筆、セミナーなどを展開中。

www.sembrar.jp
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