「パンとちょっとしたおかずをつまみに、ワインを楽しむ。」
そんな“パン飲み”を、家で気軽に楽しむコツを具体的に紹介する連載企画の最終回です。
料理は得意じゃないという人にもできる簡単ペアリングを試してみよう!
協力/丹下慶子
Text:Yoshihiko Sano Photos:Tetsuhito Ishihara
2021.4.14
「パンとちょっとしたおかずをつまみに、ワインを楽しむ。」
そんな“パン飲み”を、家で気軽に楽しむコツを具体的に紹介する連載企画の最終回です。
料理は得意じゃないという人にもできる簡単ペアリングを試してみよう!
協力/丹下慶子
Text:Yoshihiko Sano Photos:Tetsuhito Ishihara
パンの種類ごとに探究していくこの連載。毎回テーマとして取り上げるパンの「香り・食感・味わい」にフォーカスしながら、ちょい足し食材とワインのおいしい組み合わせを紹介していく。
最終回となる第5回のテーマは「バゲット」。フランス語で「杖」という意味があり、名前の由来はその細長い形状から。長さ70〜80㎝、重さ300〜400g程度のものが基本で、小麦粉、水、塩、イーストのみで作られる。それゆえ、気温や湿度の影響を受けやすく、素材や職人の技術が仕上がりに大きな違いを生むのも特徴だ。
シンプルであるがゆえの、違い。「パン・トラディショナル」とも呼ばれるこの伝統的なフランスパンは、日本の食卓でも定番になっているが、今回も個性的な3種の特徴を紐解きながら、家で手軽に再現できる〝パン飲み〞を探究してみよう。
バゲット
ポンパドール 302円(1本/税込)
[香り] クセがなくシンプル
[食感] 軽くて口どけが良い
[味わい] 塩味の下支えで粉の甘味を感じる
[ちょい足し] オリーブオイル+バルサミコ
どんな食べ方にも寄り添ってくれる懐の深い正統派のバゲットは、あえてシンプルな食べ方で。2cm程の厚さにスライスして軽くトーストし、上質なオリーブオイルとバルサミコをつけるだけで、パリッとした皮と軽い口当たりのクラム(中身)からくるほのかな甘味とそれを下支えする塩味が活きてくる。
これには、柑橘の心地よい苦味と爽やかな果実味があり、樽を効かせていない白ワインが共鳴。ちょい足し食材の同郷、イタリア生まれのこのワインなら、海のミネラル感も感じられるに違いない。
小麦粉は3種の北海道産を使い、酵母は麹やホップなどからおこした自家製の種とルヴァン種に、イーストをブレンドするというこだわり。低温でゆっくり発酵させて焼成したバゲットは、気泡豊かでもっちりした食感が特徴だ。
風味もしっかりした日本のバゲットは「あんバター」にして、ペアリングワインでさらにひと工夫。セニエ法で造られたこのスペインのドライなロゼは、色もアロマも“イチゴ感”でいっぱい。一緒に口に含むと、まるで「イチゴ大福」のような印象になる。
バゲット レトロドール
ヴィロン 380円(1本/税別)
[香り] 粉本来の香りがしっかり
[食感] ガリっと固い皮と濃密なクラム
[味わい] 塩味、甘味、うま味が強め
[ちょい足し] 生ハム+カマンベール
パリ郊外にある老舗製粉メーカーの専用粉から作られるこのバゲットは、日本生まれだがフランスのエスプリに溢れた逸品。ガリガリと音がするほど固く焼かれた皮とみっちりしたクラムに、ミルク感あるカマンベールと生ハムの塩味やうま味が重なり、そこに“パリ気分”が上がる泡をプラス。
軽いトースト香と後味に柑橘の皮のようなほろ苦さを感じるこのクレマンは、ピノ・ノワール、シャルドネ、ガメイ、アリゴテの4種を使用。すべてが一体化した時、多幸感に包まれるペアリングが生まれる。