「パンとちょっとしたおかずをつまみに、ワインを楽しむ。」
そんな“パン飲み”を、家で気軽に楽しむコツを具体的に紹介する連載企画。料理は得意じゃないという人にもできる簡単ペアリングを試してみよう!
協力/小笠原由貴・丹下慶子
Text:Yoshihiko Sano Photos:Yuriko Tsuchida
2021.4.3
「パンとちょっとしたおかずをつまみに、ワインを楽しむ。」
そんな“パン飲み”を、家で気軽に楽しむコツを具体的に紹介する連載企画。料理は得意じゃないという人にもできる簡単ペアリングを試してみよう!
協力/小笠原由貴・丹下慶子
Text:Yoshihiko Sano Photos:Yuriko Tsuchida
パンの種類ごとに探究していくこの連載。テーマとなるパンの種類のなかでも特徴的なものをセレクトし、それぞれの「香り・食感・味わい」にフォーカスしながら、ちょい足し食材とワインの組み合わせを紹介していく。
第2回のテーマは「カンパーニュ(パン・ド・カンパーニュ)」。直訳すれば「田舎のパン」。パリ近郊の村の
人たちが、果物などから〝ルヴァン種〞という野生の発酵種を作ってパンを焼き、パリに売りに来ていたことにその名は由来する。
だから、カンパーニュと呼ばれるパンは、形も大きさも風味もいろいろ。今では一般的なイースト酵母を使うものも多く、ライ麦粉や全粒粉の比率もさまざま。グラムでの量り売りの場合もあり、形も大きな丸型やナマコ型のもの、棒状のものまである。
味わいとしては、酸味の度合いや香ばしさが、ペアリングのカギになりそうだ。
カンパーニュ
ブーランジュリー・ボネダンヌ 150円(100g/税別)
[香り] 酸を感じさせるライ麦のしっかりした香り
[食感] 皮はクリスピーで、生地は弾力あり
[味わい] 梅のような酸味で、塩気はあまり感じない
[ちょい足し] ハム&バター
VIRÉ-CLESSÉ 2015
メゾン・デュ・タストリュンヌ 3,500円
[生産国/地域] フランス/ブルゴーニュ
[品種] シャルドネ
[輸入元] センチュリートレーディングカンパニー
「4種類のフランス・ドイツ産の小麦と2種類の酵母を使い、長時間低温発酵」というこのカンパーニュは、青梅のような酸味が香りからも漂い、皮も生地も心地よい歯応え。塩気とうま味のあるハム&バターで、定番のサンドイッチに。バターは大胆にカットが断然おすすめ! ワインは、丸みのある酸とコクがありつつアルコールは穏やかなブルゴーニュのシャルドネで決めたい。口中でグングン広がるおいしさ…幸福感に包まれること間違いなし。
カンパーニュ317
ルヴァン 1.4円(1g/税別)
[香り] しっかり焼成された香ばしさ
[食感] 硬く厚い皮とみっちりした生地
[味わい] うま味が強く、余韻も長い
[ちょい足し] きんぴらごぼう&ベーコン
Vin Coeur Vin Cul Rouge 2018
ピエール・オリヴィエ・ボノーム 2,700円
[生産国/地域] フランス/ロワール
[品種] ガメイ、カベルネ・フラン
[輸入元] ヴァンクール
「ルヴァン」の代名詞ともいえるこのパンは、店で製粉した無農薬小麦の全粒粉を多く配合。クラスト(皮)はしっかり焼き込まれ、コーヒーのような香ばしさも。噛めば噛むほど味わい深く、酸味だけが目立っているわけではない“パワーバランス最強”のカンパーニュに、スモーキーでうま味豊かな焼ベーコン、土っぽい風味のあるきんぴらごぼう、そして同様の香りを持つ自然派のガメイをプラス。カベルネ・フランのニュアンスも好相性。
国産石臼挽き小麦のカンパーニュ
神戸屋 620円(1ホール/税別)
[香り] ツンとは来ない、穏やかなライ麦の香り
[食感] 軽やかで、皮も薄くやわらかい
[味わい] マイルドで粉の甘みが感じられる
[ちょい足し] だし入りチーズ+あさつき
シャトーマルス 甲州 オランジュ・グリ 2018
マルス穂坂ワイナリー 1,480円
[生産国/地域] 日本/山梨
[品種] 甲州
[販売元] 本坊酒造
「カンパーニュの酸味が苦手で……」という方にはこれ。ライ麦の香りとともに、石臼挽き小麦とイースト由来の香りが感じられ、食感もやわらかい。少し焼くとさらに軽やかになり、繊細な食材合わせも可能。今回はかつおと昆布のだしを染み込ませたという国産チーズをのせてトーストにし、あさつきをパラリ。“きつね焼き”風のこんなつまみには、柚子やすだちのような柑橘の香りとほのかな渋味がある、甲州の醸しワインがやさしく寄り添う。