今回の読者テイスターのみなさん
郭 悦さん
スポーツ用品関係の会社に勤務しつつ、「ワインは毎日不可欠!」とWSETの勉強中。好みは、香りが控えめなワイン。春はロゼのイメージは強いが、必ず料理と合わせられるロゼの万能性には以前より着目してきた。今回は、酸が弱めなタイプも「初心者には飲みやすい」との点で高く評価。
稲生穂高さん
私立大学職員。学生時代にフランス料理店で働きワインに目覚めてからは、野球部出身の気力体力を活かし、ワイン探索に全力投球。「冬はボルドー赤でしっぽり過ごし、夏はソービニヨン・ブランやトロンテスの気分」。春は、フレッシュなタイプが少しずつ飲みたくなる時節だとか。
櫻井伸二さん
ソムリエやワイン輸入業を経て、外資系企業で13年間ワイン販売に携わる。昔は値段が高騰していなかったから、との注釈つきで「グランヴァン、ブルゴーニュが好き」。一定数揃ったロゼの比較試飲に価値を見出しつつ、「ロゼは売りづらく、食生活から考え直さないと」と現場目線の提案も。
評価方法
参加カテゴリーは、ワインを飲むシチュエーションとして想定した以下の3つ。
《ひとりでしみじみ》部門
《ふたりでしっとり》部門
《みんなでわいわい》部門
カテゴリー内での試飲順序は無作為。
試飲はブラインドで実施。最後まで銘柄名等はテイスターに明かさない。
ワインの採点は5段階。各カテゴリーにふさわしいかどうかが評価基準となる。
配点の心は次の通り。
「絶対に欲しい」=4点
「飲みたい」=3点
「買って飲んでもいい」=2点
「出されたら飲んでもいい」=1点
「飲みたくない」=0点
評価は、テイスター全員の点数の平均点によって決定する。
平均3点以上=金賞
平均2.5点以上〜3点未満=銀賞
平均2点以上〜2.5点以上未満=銅賞
2点未満=選外とする。
※抜栓後、問題があると判断したワインは、審査以前に司会進行が落選とする。
価格は消費税別で表示。
《ひとりでしみじみ》部門 金賞
01 イタショク
カンティーネ デ ルーカ
ドンナ カテリーナ チロ ロッソ
2014
[赤]
●生産国/地域:イタリア/カラブリア
●品種:ガリオッポ100%
●希望小売価格:1,400円
ギリシャより伝わる古代の栽培技術を研究し直し、カラブリアの地場品種を用いた造りに専念。昼と夜との激しい気温差によりブドウはゆっくり熟し、アルコールの高い長期熟成タイプの赤ワインを産み出している。
郭 熟したプラム、いちじくに加え、ミネラルや野菜の爽やかさも。奥ゆかしい香りと味わいで、ストレスなくゆっくり楽しめる。
稲生 熟したベリーやオレンジ、茶が香る。パワフルながら、酸とタンニンはほどよい。
櫻井 熟成感あるガーネット色で、口当たりまろやか。うな重をつついて飲みたい。
高橋 休日、遅く起きた昼にマルキ・ド・サド『ジュスティーヌ』を読みながら。
02 フィラディス
ファン・ヒル
クアトロ・メセス サクラ・ラベル
2015
[赤]
●生産国/地域:スペイン/フミーリャ
●品種:モナストレル100%
●希望小売価格:1,950円
乾燥が甚だしい大陸性気候のフミーリャにて、標高の高いエリアで最高品質のワインを手掛けるワイナリー。地場品種のモナストレルにこだわりあり。このワインは名の通り4カ月(クワトロ・メセス)の樽熟成を行う。
郭 甘草、バラ、プラムが香る。口当たりはスモーキーで、紅茶のニュアンスも。自分へのごほうびとして食事と合わせ堪能したい。
稲生 タンニンも酸もほどよく、ベリーやスパイス、ハーブのニュアンスあり。食後にじっくりジャズを聴きながら飲みたい。
櫻井 渋味と酸味のバランスがよく、おせちのように強く味付けした和食と合う。
高橋 花見のシメで、道明寺と一緒に。
03 岸本
レ・カルリーネ
ヴェルドゥッツォ
2015
[白]
●生産国/地域:イタリア/ヴェネト
●品種:ヴェルドゥッツォ100%
●希望小売価格:1,944円
甘口ワイン用としても有名な地場品種、ヴェルドゥッツォで造る辛口。造り手は、紀元前からワイン造りの歴史あるエリアでオーガニック栽培のヴィーガン・ワインを手掛ける。
郭 ファンキーな香りで、口に入った瞬間はじめる果実味が魅力的。大人な食事シーンでも、きちんとオーラを放ってくれる。
稲生 洋梨の甘味を感じる香り。酸は弱めで甘さが引き立つ。ワイワイなパーティもいいが、平日静かに疲れをいやしてもくれる。
櫻井 春らしい白。淡いレモンイエローで、フルーティな酸と旨みのバランスが秀逸。
高橋 口に入れたら、頭の中で「♪ブリザ~ド、ブリザ~ド」とユーミンの歌が。