石田博＆柳忠之の新商品ブラインド・テイスティング

エーゲ海に浮かぶ、ギリシアのサントリーニ島で造られるワイン。強い海風から守るため、ブドウは梢を螺旋状に巻きバスケット型にしたクルーラ仕立てで栽培される。非灌漑のため収量はわずか9〜11hl/ha。ステンレスタンクで発酵、3カ月間の熟成。

【石田】

ピュアで貝殻を想起させるミネラル感をもった白ワイン。香りはニュートラルだが、ほんのりアーモンドのようなニュアンスが感じられる。ストレートな酸味が印象的な一方、果実の熟度も高く、スムーズな飲み心地。塩っ気を含んだフィニッシュ。

【柳】

フローラルなアロマにハチミツのフレーバー。きれいでピュアな酸味。日本刀を縦に振り下ろしたような、凄まじいキレ味だが、凝縮感も十分。

ロ・スパルヴィエーレはグッサッリ・ベレッタ家がフランチャコルタに所有するワイナリー。60haの土地をもち、そのうち25haにシャルドネとピノ・ノワールを植えている。このブリュット・ミッレジマートは自社畑のシャルドネのみ用い、瓶内熟成期間は最低48カ月。

【石田】

フレッシュ感を残しつつ、深みや奥行きが感じられる。ミラベル、マッシュルーム、ヘーゼルナッツなど、フレーバーも複雑。ストレートでキリッとしつつ、クリーミーさも感じられる味わい。

【柳】

バターやハチミツのフレーバーが感じられ、リッチな印象の反面、フレッシュな酸味が心地良い。口当たりはクリーミーで柔らかく、とげとげしさはない。フィニッシュもハニーテイスト。

04　豊通食料
シャトー・デゥ・ルトゥー
AA （柳）
シャトゥー・デュ・ルトゥー 2015 ［白］
生産国/地域：フランス／ボルドー
品種：グロ・マンサン35％、ソーヴィニヨン・グリ36％、サヴァニャン16％、モンデュース・ブランシュ13％
希望小売価格：4,500円

オー・メドックのシャトー・デュ・ルトゥーが、かつてメルローの植えられていた区画を改植する際、その根を残したまま、AOCの規定外の白品種を接ぎ木。300Lの樽で発酵、8カ月の熟成。バトナージュ。醸造段階のSO2は無添加。

【石田】

じつに豊かな香りをもち、黄桃、レモンバーム、杏仁豆腐、オレガノなど。さらに口に含むと、パッションフルーツが広がる。落ち着きのある味わいで、緻密な構成。余韻も長く、充実感がある。

【柳】

さまざまな個性がひとつにまとまり、素晴らしいハーモニーを奏でている。これぞアッサンブラージュの勝利。キレもあるし、コクもあるはどこかのビールのCMだが、まさにそれ。料理を選ばない、高い汎用性も備えている。

1818年創業の古い醸造所。60年代から名匠ジュリオ・ガンベッリのコンサルタントを受け、彼の死去後は弟子のパオロ・サルヴィが後を継ぐ。これは単一畑ボッロ・デル・ディアヴォロのブドウを用いたリゼルヴァで、ステンレスタンクで発酵後、バリックで12カ月熟成。

【石田】

豊かな広がり。複雑性があり、気品が感じられる。凝縮感のある味わいで、肉厚なボディ。テクスチャーは滑らかな一方、ボリュームのあるタンニンも感じられ、ストラクチャーはしっかりしている。

【柳】

ほどほどの熟成感があり、醤油や焼き栗のような香ばしい香りが漂う。緻密なタンニンをもち、骨格のある体躯。バランスのとれた味わい。余韻の伸びが今一歩な点が惜しい。

ブルガリア、トラキアンヴァレーのワイナリー。ポンプを使わない重力式の醸造施設を備える。自社畑の規模は106haあり、赤はボルドー系品種にシラー、白はシャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、ヴィオニエ、ゲヴュルツトラミネールと豊か。

【石田】

ブラックチェリーに樹脂、甘草、バニラなど。ローストしたニュアンスも感じられ、香りからゴージャス。凝縮感に富み、パワフルなワイン。芳醇でボリューム感も高く、ジューシーな味わい。

【柳】

色調からして濃厚で、凝縮感の塊。濃縮した黒い果実のアロマにリキュールやチョコレートのニュアンス。大柄だがキメの細かなタンニンが締めるところは締める。659馬力のV8OHVエンジンを積むコルヴェットZ06。

2017年初夏いちばん美味しいワインはどれだ？