なぜ、セラーは必要なのか?
春からの新生活に向けて、生活に必要最低限な家具・家電を揃えた人も多いだろう。暮らしのキホンが整ったら、次なる目標は暮らしをグッと豊かにしてくれるアイテムの導入。ここでは、新生活の折、ワインセラーの購入を考えるワインラヴァーに向け、セラー選びを解説。京都のワインセラー専門店「セラー専科」三木重正さんを訪ねた。
ワインセラーが必要な理由について三木さんは「醸造元でボトリングされ、消費者の手に渡ってからも瓶内で熟成が続くワインは生き物。望ましい熟成を進めるためには、悪影響から守ることが大事です」と話す。
ワインにとって理想的な熟成・保管の条件とは、高湿度で温度の変化が小さく、安定した環境を保つこと。温度でいうと15℃前後、湿度70〜80%。そして光や音・振動からワインを守ること。
「四季があり、気候が変動する日本ではこの条件を満たすことが難しいためワインセラーが必要なんです。ちなみに買った後、ワインセラーで休ませてから飲むだけでも味が違う。これは、高級ワインでも安いワインでも同じ。冷蔵庫の野菜室でもいいと言われることもありますが、開け閉めによる振動が難点。休ませる意味がなくなってしまうからです」
何から考えるべき?
実際に購入する際は、何から考えるべきだろうか。
「まずは〝短期保存〞か〝長期熟成〞か、使用目的を考えること。次いで設置場所を確保して、絞り込んでいくことを勧めています」と三木さん。特に設置場所は幅だけでなく、壁から5〜10
㎝離してセラーを設置する必要がある奥行きは注意すべきポイント。高さにおいては収納本数や部屋で感じる圧迫感などで決めるといい。
売れ筋やトレンドなど、セラーにもここ数年の傾向はあるのだろうか。
「増えているのは、2温度帯の機能です」
一般的にワインは保管に適した温度(前述の15℃前後)と飲み頃の温度が異なるもの。例えば冷やして飲みたいスパークリングなら適温は5〜8℃前後のため、冷やし直す必要がある。それを一方の庫内は12〜15℃、もう一方は6〜9℃前後に設定可能な2温度帯機能のセラーなら、熟成保存するワインとすぐに飲むワインに分けて保管したり、ワインと日本酒を保管する人にも適している。
またガラス扉やブラック中心のダークトーンも最近の傾向だという。
「これはリビングに設置する人が増えており、より見せる収納、そしてどんな和洋室にも合うシンプルなデザイン性が重視されていることを物語っていますね」
値段はどこで変わる?
気になる予算を考慮するうえで知っておきたいのが、セラーの冷却装置についてだ。現在の主流は、コンプレッサー方式とペルチェ方式。前者はより冷却力が強く、安定した性能の反面、比較的高額なセラーに多いのが特徴。後者はより小型で安価。しかし冷却力は周辺気温から約15℃までしか冷やせないため、猛暑の夏などは庫内が室温に左右されてしまうこともある。
とはいえ、ペルチェにするだけで例えば12本収納のセラーが1万円台から手に入るのも事実。
「初心者なら、まずはペルチェのセラーを購入し、セラーのある生活が自分に合うかどうかを見極めてから、次のステップに移る時にコンプレッサー式にするのも一つの手段です」
と三木さんは勧める。
一方、電気代など経済性を重視するなら「ペルチェは温度をゆっくり下げるため、ワインを適温にする稼働時間が長い。そのため、ランニングコストはコンプレッサー式に軍配が上がります」
このほか、例えば2温度帯機能付きなど、多機能セラーは諦め、シンプルな機能で低価格のセラーを選んで初期投資額を抑えるのも、経済性重視派の選択肢として挙げたい。
後悔しないために
最後に「憧れのワインセラーを入手する上で、後悔して欲しくないポイントが収納本数」と三木さん。
ワインセラーがあると思いの外、買い置きが多くなるもの。そのため「予定より、ひとまわり多い収納本数のワインセラーを考えること。当店の場合、家飲み目的なら、20本前後が売れ筋です」
また、スペックの〝容量〞の箇所も重要だという。これは、同じ収納本数のスペックでもメーカーごとに容量の大小がある。あまりに小さいと分厚いボトルが入らないことも。
「その点、当店なら、ワインを実際に出し入れしながら使い心地を確かめたり、稼働時の音が聞けるのも大きい」と三木さん。知識豊富なプロの助言があることもセラー専門店で選ぶ利点だ。
セラー専科 ワインセラーショールーム
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電話|0120-050-177
営業時間|10:00 ~ 17:00
土曜・日曜休み(祝日は営業)
全国展開する酒販店リカーマウンテンのグループ会社「イズミセ」が運営するワインセラー専門店。広々としたフロアに、10~11メーカーのセラーが堂々集結。豊富な知識を持つスタッフが対応してくれる。HPのフォームまたはフリーダイヤルにて要予約。当日予約でも極力対応。