まさに日本ワインの啓発書
上巻では、ワインの名産地として有名な山梨と長野のワイナリーを紹介していたが、下巻ではその他の地域の、まさに日本中のワイナリーを余すところなく紹介ている。日本ワインの広がりと奥深さがよくわかる。
上巻同様、そらしどさんの楽しいイラストで、各地のワイナリーが紹介される。いわゆるコミックエッセイというスタイル。特徴的なのは、ワイナリーの「人」にフォーカスしているということだろう。どんな人が造っているのか、どんな思いで造っているのかを、イラストで表現しているのだが、それはそのワイナリーの、そのワインの特徴につながっていく。
その他、日本ワインの現状がわかるデータや、ご当地料理とワインの組み合わせ、ぶどう品種の解説などもわかりやすく紹介していて、まさに日本ワインの啓発書にもなっている。
日本ワインが好きになる。ワイナリーに行ってみたくなる。
この本を読んでいると、日本ワインの一番いいところは、気軽に産地に行けるということなのではないかと思えてくる。
ぶどうを育んだ畑の環境を見て、ワイナリーのまわりの自然を感じ、生産者の人となりに触れ、そうした体験はワインをより早く深く理解することにつながると思う。ワインには造っている人の人柄が出る、とよく聞く。そんな体験ができれば、それは楽しい。ワインのことももっと好きになると思う。
この本は、そんな体験をシミュレーションできる。自分がそのワイナリーに行ったような気にさせてくれる。感動もする。
現地に行かなければわからないことを、そらしどさんのイラストが感じさせてくれるのだ。共感させてくれるのだ。
だから、この本を読み終わると、日本ワインが大好きになる。そして、実際にワイナリーに行ってみたくなる。
ワイン好きなら、ぜひ読んでみてほしい。ワイン初心者には、分かりやすい日本ワインと日本のワイナリーのガイドブックにもなる。入門書としてもおすすめだ。