今回の対談はオーケストラ指揮者の守山俊吾さんと岐阜大学共同研究講座抗酸化研究部門の特任教授犬房春彦先生です。守山さんはロシア・サンクトペテルブルクOpera & Ballet Orchestra Congressの主席客演指揮者やブルガリア国立ソフィア・フィルハーモニック オーケストラの常任客演指揮者に就任され、オペラやバレエなどのオーケストラ指揮者として日本を代表する指揮者です。どのようなワイン談義に広がるのか、大変楽しみです。
犬房春彦、オペラ歌手になる
犬房先生、守山さんとはどのようにお知り合いになったのですか?
犬房 オクソンというステーキ店で今年の1月、ブルガリアのテノール歌手であるミハイル・ミハイロフさんにアリアのレッスンを受けまして、その場にミハイルさんを招聘された守山先生が同席されていたんです。その時に初めてお会いしました。
えっ、犬房先生アリアを歌うんですか? それは知りませんでした。
犬房 本当はブルースを歌いたかったのですが、オペラをちゃんと習えばブルースも歌えるようになるだろうと思って、4年半ほど前からプロのオペラ歌手に習っています。もちろん人前で歌ったことはほとんどありません。しかし、オクソンで守山先生にお会いした日、私がレッスンを受けている様子を最後までご覧になった後に「3月3日、シンフォニーホールで熊本震災復興チャリティーコンサートがあるのですが、2曲ほど歌われませんか?」とご提案いただいたんですね。とても軽い調子で仰ったので、てっきり素人さんばかりが出演するコンサートだと思い込んで、つい歌います! と言ってしまったんです。その1週間後にコンサートのチラシが送られてきたのですが、なんと! 私以外、皆さんプロのオペラ歌手のお写真しか載っていないのですね。見た途端に冷や汗が出てきて、どうしようと焦りました。
守山 犬房先生は良い声をお持ちなので、少し練習していただければ十分コンサートで歌っていただけると思ったのです。数回ほど私のレッスンを受けていただきましたが、やはりかなり上達されました。当日もかなり良く歌われたので、今後も歌い続けてほしいです。
それにしましても、オペラ歌手デビューがいきなりシンフォニーホールですか?
犬房 そうなんです。そのプレッシャーたるや予想外の大きさでしたが、守山先生の名指揮のおかげで何とか最後まで歌うことができました。ありがとうございます。
Chance favors the prepared mind
守山さんが指揮者になろうと思われたきっかけは何ですか?
守山 36歳の時に現在の日本センチュリー交響楽団の前身である大阪府音楽団でクラリネットを担当し、コンサートマスターをしていました。ところがあるコンサートの前日に指揮者の方が病で倒れてしまいましてね。それまでも指揮の勉強はしていましたが、倒れた指揮者の方が「守山君なら振ることができるから頼んでください」と言っていただきましてね。当日は、大きな問題もなく無事に指揮ができたのです。これを機にその後、大阪府音楽団の副指揮者に就任しました。
指揮をはじめられたのは偶然だったのですね。
犬房 オペラのみならずバレエのオーケストラでも名指揮者として知られていますが、バレエの指揮はどのようなきっかけで始められたのですか?
守山 関西を代表するバレエ団の友井唯起子先生から白鳥の湖の指揮を頼まれたのが最初です。友井先生がていねいに振り方を指導してくださいました。1989年、ロシアから来られたヌレエフの師匠に当たる方の振り付けによる「シンデレラ」と「ジゼル」の指揮をしましたら、著名なバレリーナであるその奥様のドゥジンスカヤさんから「日本にバレエの指揮ができる方がいるとは思ってませんでした。守山さんは魔法の白い棒を持っています」とお褒めの言葉をいただいたのです。その後1997年にロシアから依頼がありまして、クラシックバレエフェスティバルの指揮をしました。オペラはロシアのマリンスキー劇場のスターのお友達と知り合いになったのがきっかけですね。ロシアのスーパーマーケットで買い物をしようとしていたのですが、言葉が伝わらず困っていましたら後ろからロシア人の女性が日本語で「お助けしましょう」と言ってくださって、その後その方のお誕生日パーティーに連れて行ってくださったのです。その方は日本にロシア人ダンサーを紹介するお仕事をされていて、そのパーティーには多くの著名人が来られていました。そこでオペラ歌手をご紹介頂いて、ユスポフスキー邸の黄金劇場でオペラを振りましたら好評で、その後サンクトペテルブルクのOpera & Ballet Orchestraの主席客演指揮者に就任したのです。
指揮が素晴らしいとしても、やはり素質や能力が伴わないとそのような大役を頼まれる事はありませんね。ブルガリアとの関わりはいつからですか?
守山 1984年です。ブルガリアのピアニストを呼んでオーケストラで指揮をしましたら、そのピアニストさんと音楽の相同性を感じましてね、ブルガリアに遊びに行きたいと言ったんです。そしたら遊びではなくて国立ソフィア・フィルハーモニーの指揮をされたらどうですかと言われたのが最初です。1986年に指揮をし、2006年から10年間常任客演指揮者を務めました。
犬房 お話しを伺っていると、フランスの細菌学者ルイ・パスルーツの言葉を思い出しました。「Chance favors the prepared mind:運は準備ができている者しかつかむことができない」。まさに守山先生は準備が出来ていたので指揮者やバレエ指揮のチャンスをつかみ取ることができたのですね。
オペラ歌手声帯疲労軽減プロジェクト!?
守山 犬房先生が昨年から開始された、酸化ストレスを下げる「Twendee Xによる声帯疲労低減プロジェクト」の結果は素晴らしいですね。
私がご紹介したオペラ歌手の方々もTwendeeを飲み始めていましてね、早い方は数日で声帯の調子が良くなったと喜んでいますよ。
犬房 ありがとうございます。
犬房 声帯は筋肉でできているので、酷使すると酸化ストレスがたまり、疲労してきます。そのまま続けると炎症が継続し、声帯が硬くなってしまうと元の声に戻らなくなるのです。
守山さん、ワインはお好きですか?
守山 大好きです。今でもブルガリアにはよく出かけて指揮していますので、ブルガリアワインも好きですね。ブルガリアのワインは安価で素晴らしく美味しいのですが、残念ながら日本にはほとんど輸入されていませんね。
犬房 先日、守山先生に赤のブルガリアワインを頂戴しました。マヴルッドと言う聞き慣れない品種でしたが、濃厚で素晴らしいものでした。ありがとうございます。
守山 犬房先生、ブルガリアにご一緒してコンサートやワインを楽しみましょう。
犬房 そうですね、そして欧州のオペラ歌手の方にも「声帯疲労低減プロジェクト」に参加していただきましょうか。
守山 ぜひそうしてください。歌手の方々も喜ばれますよ。
守山さん、犬房先生、今日は本当にありがとうございました。守山さんが偶然から指揮者になられ、数々の奇遇なご縁でバレエやオペラの指揮をし、日本を代表する指揮者となられたお話しには驚きました。犬房先生との出会いも、そして今から一緒に多くの歌手を助けるプロジェクトも偶然です。人生は不思議なご縁でつながっていくのですね。とりあえず不肖ヤマダはブルガリアワインを飲んでブルガリア美女とのご縁を待ちましょう。
取材協力:オクソン(http://oxon.jp)