
ボルドー郊外にある本社シャトー・マニョル。
若い感性と熟練の知識による伝統とトレンドのバランス
“バルトン&ゲスティエらしい”味わいに仕上げるべく、ボルドーにある本社のシャトー「シャトー・マニョル」ではプラダさんを含めた3人のワインメーカーが何度もテイスティングを繰り返し、理想的なアッサンブラージュを決定していきます。3人というチーム編成にも、こだわりがあるとプラダさんはいいます。
「3人にしているのは、意見の交換がしやすいから。1人だと偏りがあり、2人だと意見が合わないと困る。3人だと、建設的な意見交換ができ、正確でクオリティの高いワインが出来上がるのです。ワインメーカーは皆、ボルドーをはじめフランス各地のワイン産地で研鑽を積んできました。昨年から参加しているフロランスは20代とまだ若いですが、若い女性の味覚は非常に優秀です。また、若い世代の味覚を知っていることも、とても重要なことです。伝統的なワインの味わいを保つことも必要ですが、世界のワイントレンドや人々の味覚の変化に合わせ、愛されるワインを造っていかないといけません。あくまでボルドーらしさを残しつつも、時代に合わせてチューンしていくことも大切なのです」。
醸造施設も併設。シャトー・マニョルは18世紀に建てられた。
シャトー内にあるカーヴには歴史を物語る数々の高級ワインが貯蔵されている。
次のひとくちが飲みたくなるビュバブルな味わい
“バルトン&ゲスティエらしい”ワインとは、どのようなものですか? とプラダさんに質問したところ、返ってきたのは「ビュバブルbuvableなワイン」という答え。直訳すると、「飲みやすい」といった意味ですが、フランス語では少しニュアンスが違います。
「ボルドーはどっしり重く、渋いから飲みにくい、と思われることもありますが、私達のワインは常に、タンニン、ボディ、酸のバランスの良い、ビュバブルなワインでありたい。ビュバブルなワインとは、味わいはありつつも、1杯だけでなく、2杯、3杯と飲みたくなるような、飲み疲れないワインのこと。せっかくおいしいワインですから、毎日飲んでほしいんです」。
バランスの良さは、マリアージュのしやすさにもつながります。高級レストランで食べるような濃厚な料理だけでなく、タパスやビストロ料理、家で作るパスタやハンバーグ、チキンソテーなど、気軽な料理とも相性がいいのも、うれしいポイントです。