まず、やや繰り返しになるけれど、このラム酒は、ディクタドールがストックする多年代にわたる様々なラム酒のなかから、1976年のラム酒を、複数の樽から厳選してブレンドしたものだ。
その色合いは、ダークアンバー。
香りは天然の素材から造られた香水、ウッディな、あるいはなめし革のようなノートのオーデコロン、スパイス、パチュリのようなハーブやサンダルウッドのような香木に、バラのような花の香りが複雑に混ざりあったそれのようだ。
ケン・グリエルは、磨かれたばかりの木、皮のヒント、熟したプラム、クローブの香り、これと層をなして、ココアパウダー、ブラックチェリー、ナツメグ、シナモン、深みのあるマホガニーウッドが後方に存在する。さらに香りの余韻として、ラム酒においては非常に珍しい、パイナップル、ローズペタルが感じられる、とする。
ジェネレーションズ・アン・ラリックのアルコール度数43%は、この香りをもっとも美しく表現するために、ディクタドールとしては初めて選択された度数だという。その考え方も、香水のようだ。
味わいにおいてはまず、当然、43%のアルコールによる、辛いほどの刺激を感じるのだけれど、同時に液体の舌触りはとてもなめらかで、甘みを感じるのが印象的だ。これは、干しブドウとバニラ、バラの香りが混ざりあったような穏やかな甘さと鼻に抜ける香りで、これにやや遅れて、カカオやコーヒーのような苦味があらわれる。
ケン・グリエルは、カカオ90%以上のチョコレート、火を入れたオレンジピール、ほのかなクローヴ。ついでナツメグ、乾いたオーク、リッチなレザー、マダガスカル産のバニラのようなかすかな甘味。そして、ここに層をなして、コロンビアのコーヒー、かすかなスターアニスを喉の付近で感じられる、という。さらに層をなして、熟したフルーツ、アーシーなハーバルさ、葉巻、リコリス、クリスマスケーキのような印象がある、と続けた。
そして驚くほど長い余韻……とケン・グリエルは言うのだけれど、実際、このラム酒の後味の長さ、複雑さ、そしてその心地よさには筆者も驚かされた。
これまで述べたような数々の味わいと香りの要素が、本当に長く口内と鼻腔を支配し、その複雑にして華麗なエレガンスが次のひとくちをいざなう。高アルコールの飲料であることを忘れてしまうほどに、魅惑的だ。
ケン・グリエルはこう表現した。
シガーのスモーク、オーキーさ、干しブドウ、煮詰められたプルーン、メジョールデーツ、ざくろ、いちじく。最後にダークチョコレートの香り、ドライで野生的なオーク、スパイス、シナモン、ジンジャー。