アードベッグ

ワイン好きに勧めたい シングルモルト ウイスキー その2

強烈な個性から、熱狂的なファンを世界中にもつスコットランドシングルモルトウイスキーがアードベッグ。アイラ島のテロワールに酔いしれよう。

「ARDBEG TEN(アードベッグ 10年)」。アイラ島のテロワールを写し取ったアードベッグを代表するシングルモルトウイスキー

アイラ島のテロワール

シングルモルトの魅力は、蒸留所ごとの個性が際立つことだ。スコットランドの地においてもエリア、スタイルで大きく個性が違う。中でも存分に表現してくれるのがアイラ島。そしてアイラ島において強烈な存在感を放つのがアードベッグだ。

ワイン好きにおいては、アードベッグは、異次元の酒、かもしれない。グラスに注いだ瞬間にそれとわかるほど印象的だ。その要因は鮮烈な、しかし味わいと深みのあるスモーキーさと、海辺にいるかと錯覚するほどのヨード香。ワイン好きに伝えたい。この2つの個性は、まさにテロワールの産物だ。

アードベッグといえばピート。アイラ・モルトのなかでも最もピートを強く焚きこんでいる。軟水の水源もまた、泥炭の層を通ってきた湖水だ。

アイラ島には荒々しい波が打ちつける。その土地の1/4以上がアードベッグにスモーキーさをもたらす泥炭(ピート)で覆われる。海の近く、それもアイラだからこそ。これを生かしてさらに旨みと深みをもたらす技術を重ね、世界が構築される。ワインと共通した物語だ。

蒸留所はアイラ島の南岸、大西洋の波に現れる岩の多い小さな岬にある。1815年に設立され、歴史的には幾度も閉鎖の危機に見舞われた。1997年、グレンモーレンジィ社の傘下に入ることで復活。世界中の「アードベギャン」と呼ばれる熱狂的ファンに愛されるカルト的な存在であると同時に、専門家からも非常に高い評価を受ける。

強烈だからこそ、違う個性と結びつくと新たな魅力が生まれる。アードベッグの神髄「アードベッグ 10年」を味わったらオロロソ樽を使った「アードベッグ ウーガダール」、ペドロ・ヒメネス、アメリカンオークの新樽を使った「アードベッグ アン・オー」を。甘み、緩やか、エキゾチック。荒々しい海と静かな花園の入江が同時に目の前に広がる。ファンタジーの世界。

アードベッグのポートフォリオ。左から「アードベッグ 10年」、「アードベッグ アン・オー」、「アードベッグ ウーガダール」。そして、フレンチーク新樽熟成の原酒を使用したスパイシーで力強い「アードベッグ コリーヴレッカン」

アードベッグは、土地とその土地を生かす知恵と喜びを教えてくれる。香りと味わいの向こうの物語まで、じっくりと楽しもう。

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