50年代に家族が手に入れた畑で、長い間、他の栽培農家に貸し出されており、アニェスさんの両親は売却しようと考えていた。しかし「自分がブドウ栽培をするから」と両親を説得。かくしてドメーヌ・アニェス・パケの立ち上げが2000年。初ヴィンテージは2001年だったという。
その後の買い増しや賃貸耕作によって、現在の耕作面積は13ヘクタール。オーセイ・デュレスのほか、お膝元のオート・コート・ド・ボーヌ、それにポマール、シャサーニュ・モン ラッシェ、サントーバンにも広がっている。
新世代の造り手らしくブドウ栽培は自然を尊重し、2004年から除草剤の使用を止め、認証こそ取得してはいないものの、事実上有機農法を実践する。
オーセイ・デュレスという知名度の低いアペラシオンながら、ワインの質はすこぶる高い。味わったのが18年という温暖な年のせいかもしれないが、白は繊細さとふくよかさが両立されて、早くから心地よく楽しめ、赤は果実味柔らかく、酸のバランスもとれたエレガントなスタイルである。
またアリババと40人の盗賊をもじった「アリ・ボワ・ボワ」という発泡性ワインも醸造。ユーモアセンスにも優れた造り手だ。