当時はとある有名ドメーヌで栽培の仕事に従事しており、その合間を縫って自分のワインを造っていた。今はガールフレンドのアメリー・ベルトーさんの実家、ドメーヌ・ベルトー・ジェルベで栽培責任者として働きながら、6つのアペラシオンに増えた自身のワイン造りにも余念がない。
現在、ブドウ畑の広さはすべて合わせても1ヘクタールほど。8年前と比べれば増えたが、2018年で21樽。2019年は霜と雹、それに乾燥の影響から4割減の12樽しかで
きなかった。
ブドウ栽培では除草剤、殺虫剤は使わず、化学肥料も使わない。重いトラクターが土を踏み固めないよう、耕作には馬を使っている。醸造にもポリシーがあり、白は圧搾後の澱下げはほとんどせず、赤は100パーセント全房で醸す。酸化防止剤の亜硫酸は必要最小限に留めている。
ニコラさんの造るワインは、色調はさほど濃くもないのに、旨味がぎゅっと詰まっている。香りはフローラルで、ちょっとスパイシーなアクセント。ピュアな酸が心地よく縦のラインを形成し、シルキーなタンニンが後を引く。
なにしろこれっぽっちの生産量だから、見つけるのすら困難。飲んだらしばらく威張れるレアワインだ。