ニコラさんは87年生まれの32歳。ボーヌの醸造学校で学び、ローヌ地方で修行した。
当時はとある有名ドメーヌで栽培の仕事に従事しており、その合間を縫って自分のワインを造っていた。今はガールフレンドのアメリー・ベルトーさんの実家、ドメーヌ・ベルトー・ジェルベで栽培責任者として働きながら、6つのアペラシオンに増えた自身のワイン造りにも余念がない。
現在、ブドウ畑の広さはすべて合わせても1ヘクタールほど。8年前と比べれば増えたが、2018年で21樽。2019年は霜と雹、それに乾燥の影響から4割減の12樽しかで
きなかった。
醸造所はムイエという村にある。セラーの扉には、19年の発酵の進捗が書かれたまま。
ブドウ栽培では除草剤、殺虫剤は使わず、化学肥料も使わない。重いトラクターが土を踏み固めないよう、耕作には馬を使っている。醸造にもポリシーがあり、白は圧搾後の澱下げはほとんどせず、赤は100パーセント全房で醸す。酸化防止剤の亜硫酸は必要最小限に留めている。
ニコラさんの造るワインは、色調はさほど濃くもないのに、旨味がぎゅっと詰まっている。香りはフローラルで、ちょっとスパイシーなアクセント。ピュアな酸が心地よく縦のラインを形成し、シルキーなタンニンが後を引く。
なにしろこれっぽっちの生産量だから、見つけるのすら困難。飲んだらしばらく威張れるレアワインだ。
ブルゴーニュ・ルージュ・オー・ザルジリエール(2017年は5,700円 ※現行商品無し)。プレモー村の区画で樹齢は35年。0.13haを耕作している.
19年を樽から試飲した印象は、非常にデリケートでシルキーなタッチ。ドメーヌはこのほかに、白のアリゴテとオート・コート・ド・ボーヌ、赤のガメイ、アロース・コルトン、ニュイ・サン・ジョルジュを造る。