当局に一級畑を認めてもらうには、造られているワインがそれに見合う価値がなければならない。だから自然と造りにも気合が入る。
クリストフ・ブヴィエさんもそうしたマルサネの造り手のひとりだ。祖父はこの村の銘醸家として知られた故ルネ・ブヴィエ。父のレジスさんは1981年に独立し、その息子のクリストフさんも2010年に父の元から巣立っていった。その理由は有機農法に挑戦したかったから。19年は雨が少なく、すべての畑を有機で栽培できたという。
ドメーヌのワインで面白いのが、「ブルゴーニュ・ブラン・コトー・ド・ラ・フォンテーヌ・オー・フェ」。ディジョン市の北西に位置するタラン村所有のブドウ畑から造られるワイン。クリストフさんが特別に村からすべての面積を借りて耕作している。ちなみにタラン村にはキール湖に隣接して、ラ・フォンテーヌ・オー・フェ(妖精の湖)という名前の公園がある。
クリストフさんの造るワインはその人柄を反映し、とても実直。クリマ(畑)ごとのテロワールをよく表現している。ロンジュロワはミネラリーでエレガント、クロ・デュ・ロワはパワフルだ。