姉のレアさん(真ん中)と3歳年下の妹カミーユさん(左)。そしてワイン造りの実務を担当する、レアさんの夫のエドゥアルド・パパンさん(右)。
ワインの元詰めは4代目のミシェルさんから。1990年にこれを継承したエルヴェさんが、2005年に突然他界したため、やむなくワイン造りを中断。毎年収穫したブドウはネゴシアンに売却していた。それから10年の月日が経過し、レアとカミーユの美人姉妹がドメーヌを引き継いだのが、2015年のことである。
ジュヴレ・シャンベルタンの隣村、ブロションにあるドメーヌ・クリュニー。
しかし、か細く美しいふたりが畑やセラーで力仕事に励むのは無理というもの。幸いなことにレアさんの夫、エドゥアルド・パパンさんが名乗りを上げた。前職は大聖堂や城の天井を修復する職人だが、ボーヌの醸造学校でブドウ栽培とワイン醸造を一から習得。取材のこの日も寒空の中、ひとりブドウ畑で働いていた。
ドメーヌは7ヘクタールのブドウ畑をブロション、ジュヴレ・シャンベルタン、シャンボール・ミュジニーに所有。シャンボールには一級畑のシャルムももつ。3人が受け継いでから有機農法に転換中で、すでに除草剤は一切使わず、化学肥料も与えていないという。
こじんまりとしたセラー。収穫したブドウは今でも一部、ネゴシアンに売っている。
エドゥアルドさんに理想とするワインのスタイルをうかがうと、「複雑味があり繊細。そして強すぎないこと」。試飲したジュヴレ・シャンベルタン・ヴィエイユ・ヴィーニュも、抽出が抑えられたフェミニンな味わいであった。
左のブルゴーニュ・シャルドネ(2017 年は4,800 円)はブロション村のアン・コンブルという区画のブドウを醸造。樽香が目立たないよう、ドゥミミュイと呼ばれる中くらいの樽で熟成させた。右のジュヴレ・シャンベルタン・ヴィエイユ・ヴィーニュ(2017年は8,400 円)は3つの区画のブドウをブレンド。平均樹齢70年の古木から。しなやかでたおやかなスタイル。