フランス国内の小売市場では第2位に
シャンパーニュにおける各メゾンの勢力図は、数年で劇的に変わることなんてまずありえない。とくに大手メゾンの場合、徹底したブランド構築、門外不出の製法技術など長年にわたって努力を重ね、他社が追いつこうにも真似しようにも、動きがとりづらいのだ。
そんな業界なのに、どでかい風穴をあけ、勢力図をガラリと変えてみせたのがカナール・デュシェーヌだ。
シャンパーニュの年間生産量で10位にランクイン。2003年の段階では220万本/年の生産量だったのが、現在は400万本/年にまで増加したためだ。と同時に、フランス国内の小売市場では、すでに年間売上2位を記録するほどの人気シャンパーニュである。
「え、フランスで第2位? 今までそこそこシャンパーニュ飲んできたけど、カナール・デュシェーヌって聞いたことない……」と自信をなくしかけた方々には、慰めの情報を。
日本での認知度がまだ低めなのは、ほぼすべてフランス国内で売られていた時代が長かったから。
とはいえ、今は生産量全体の3割が国外のシャンパーニュ・ファンに向けて販売され、全日空のビジネスクラスなど数社のエアラインで搭載されてきた実績もある。フランスだけでなく諸外国を頻繁に飛び回っている人にとっては、すでにお馴染みの銘柄である。
150年前、樽職人カナールと栽培農家の娘デュシェーヌの結婚を機に誕生した、カナール・デュシェーヌ。21世紀に入るまで、いわゆる中堅どころに位置する地味なメゾンに過ぎなかった。
大躍進の起爆剤となったのは、なんといってもローラン・フェドゥのシェフ・ド・カーヴ就任だ。カナール・デュシェーヌがフランス各地でワインを造るティエノ・グループの傘下に入ったのち、送り込まれた人物である。
さて、この男がかなりの曲者。根っからの研究家肌で、浮かんだアイデアはすべて試さないと気が済まない。「彼こそマッド・サイエンティスト」とマスコミに評され、「もう、そこまでやらんでください」とたびたび現場スタッフに泣かれるという当人曰く、「違うことをやったらもっといいワインができるかも、と探求するのが好き。9年前にはオーガニックに挑戦しました。当時はシャンパーニュで誰もオーガニックを信じてなかったけど。トライし、学んで、その経験を活かすの私の仕事だから」。
かたちになった彼のアイデアのひとつが、マシン「ジェッティング」である。ボトルごとにガス圧をチェックしつつ、わざと泡で空間を満たしたまま密閉させる仕組みだ。ボトル内の残存空気を極力排除して酸化を抑え、 酸化防止剤も削減。品質が安定して「カナール・デュシェーヌは常においしい」 と消費者の信頼が高まり、その結果がフランス第2位。
ローランのひらめき、飽くなき創意工夫がひとつのメゾンをスターダムに押し上げたのだった。
Canard-Duchêne
Cuvée V extra Brut 2010
Canard-Duchêne
millésime 2012
TOKUOKA WINE & GOURMET GYALLERY GINZA
カナール・デュシェーヌがグラス1杯目500円で!
「トクオカ ワイン & グルメ ギャラリー銀座」は、カナール・デュシェーヌの輸入元、株式会社徳岡が銀座にオープンして3年になるアンテナショップだ。ワインはもちろんのことチーズやハムなど食材も豊富にそろっている。場所も東急プラザ銀座という好立地。待ち合わせに、アプリティーボに、食事の後の一休みに、使い勝手も貴方次第。
今回紹介した「カナール・デュシェーヌ」が1杯目は500円(2杯目からは800円)で提供されている。
高級ワインが32種類もグラス売りで飲めるので、これまたオススメだ。
店内で販売されているワインは500円プラスしたら店内でそのまま楽しめる。ワインに、チーズやハムも買って、お家で楽しむもよし。店内のバールームでおつまみを注文して飲むのもよし。