アルゼンチンといえば「アサード!」
「アサードとワインの組み合わせは私たちにとって欠かせない文化。2018年6月からアルゼンチン・パタゴニアの牛肉が日本でも解禁されましたので、アルゼンチンの素晴らしいワインと共に、これからますます日本で親しんでいただけるでしょう」
と語るのは、アルゼンチン共和国大使館 経済商務部長 一等書記官のイバン・ダ・ポンテさん。来日5年目。
「日本のカルチャーが好きで、自ら日本への赴任を希望しました。あらゆる文化が私たちとは違う。だからこそいい経験ができると思いました。それに私はアニメやマンガが大好き! 『キャプテン翼』、『ドラゴンボール』、『NARUTO』、『聖闘士星矢』、『はじめの一歩』……キリがありませんね(苦笑)」
日本が好き。だからこそ、アルゼンチンの誇る文化であるアサード×ワインも日本で広がって欲しい。それがイバンさんの願い。
ちなみにアルゼンチンの国民食でもあるアサードは、焼肉、バーベキュー料理で、代表的なものは牛肉の炭火焼き。広大な平原で育つアルゼンチンの牛肉は、健康的な赤身で味わうごとに旨みが感じられる。シンプルに塩だけでも抜群にうまい。
今回取材場所を提供していただいた「花咲 Butchers Store」はいち早くアルゼンチンの牛肉とアルゼンチンワインの組み合わせを提案。スタッフさんも「穀物の飼料ではなく牧草を食べて育つグラスビーフ。だから自然な美味しさがあるんです」と自信のひとこと。イバンさんも早速ひとくちほおばって笑顔。
ベストパートナーはマルベック
「とにかく私たちは肉をよく食べる。世界でもトップイーター。19世紀は一人平均、年間で120㎏も食べていたんですよ。現在では68㎏になりましたけれどそれでもよく食べてるでしょう?(笑)」
脂の甘さではなく肉としての旨み。だからワインも過剰な濃厚さやジューシーさは必要がない。まず、ベストパートナーとして名前が挙がるワインは、マルベック。アルゼンチンを代表するブドウ品種だ。イバンさんが今回その中からセレクトしたのは「FELINO(フェリーノ)」。
アルゼンチンワインの約8割を生む名醸造地メンドーサ地域の生産者ヴィニャ・コボスで、エレガントな酸と果実の凝縮感が持ち味だ。
「最高のマリアージュですよ。骨格がしっかりしているフルボディのワインですが、決してハードではありません。赤い果実が感じられてフィニッシュはスムーズ。だからアサードにはとてもよく合います。他にもミートソースのパスタもおススメですね。それから、意外かもしれませんが私はマルベックとサーモンの握りや天ぷらといった和食との組み合わせも好きです」
プレミアムワインのカテゴリーでも価格はリーズナブル。そして日本のテーブルにも合うものが多い。これもアルゼンチンワインの魅力。上質なワインが実に安い。
「最近ではカベルネ・フランやタナもよいワインが沢山あります。これも肉によく合いますよ。白では北部のサルタ州で生産されているトロンテスのワインもおススメしたい。そして地域的にもメンドーサだけではなく、パタゴニアでもよいワインが造られていますし、まだ世界的には知られていませんが、ブエノスアイレスに近いエリアも注目してください」
良質なスパークリングやフランス系の珍しいブドウ品種も多いパタゴニアは良質な牛肉の産地でもあり、日本でもよく聞くエリアになるだろう。
最後にアルゼンチンの格上ワインを楽しむためのアドバイスを。
「格上ということにこだわらず、友人や家族といい時間を分かち合いながら楽しむのがアルゼンチンのスタイル。ぜひ、美味しい私たちの牛肉とともに楽しんでください」