南仏のミラクルに触れる
フランスのコルビエールとミネルヴォアの間に、限りなくユニークなブドウ畑が展開している。毎春40日間、彼の地に訪れると呟きたくなるのが「……ここは水田だったか?」。なにしろ畑一面に、さざ波がたつほどタップリと水が張られているのだから。
畑のあるマルセイエット干潟はもともと、地中海から内陸へ40kmほど入った湿地帯。改良を行い、耕作可能な干潟として整地し続けた歴史を持つエリアだ。土壌には塩がたっぷりと含まれているので、芽吹きの時期に畑へ水を導入し、栽培に適した塩分濃度へと調整しなければならない。
手間はかかるが、メリットも大きい。定期的に水を張ることで、害虫フィロキセラが酸欠となり消滅する。19世紀後半、フィロキセラに侵されたアメリカ系の苗木が南仏に届くや否や、瞬く間にフランス全土へと蔓延してしまった。ほぼ全域のブドウ樹がフィロキセラに耐性を持つアメリカ系台木との接ぎ木へと転換するなか、その蔓延の発生点である南仏で未だ自根のブドウ樹が植わっている事実は、水田のようなブドウ畑の風景と同様、まさにミラクルである。
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ドメーヌ・フェランディエール リースリング
- 自社で管理する畑のリースリングを100%使用。柑橘とリンゴが香り、骨格を成す豊かなミネラルと酸が魅力的。
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フェランディエール リザーヴ・ヴィオニエ
- 桃やアプリコットに似た温かみのある 果実感、白い花束のように華やかな 芳香が、口中を優しく包んでくれる。
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フェランディエール リザーヴ ピノ・ノワール
- フレッシュな赤い果実、赤い花、そして土の香りを持ち、チャーミングな酸とかすかな苦みが余韻を引き締める。
フェランディエールとは?
1922年創業のワイナリー。70haの畑は、塩を適度に含む石灰粘土質土壌。南仏の固有品種に加え、ピノ・ノワールやリースリングなど主に北方で栽培される品種も得意とするのは、ピレネー山脈から冷涼な風が吹きつける畑を所有しているため。現在の所有者は、南仏ワインの偉大なる立役者であるポール・マスを父に持ち、自身もワイン産地の名声を飛躍的に高め続けているジャン・クロード・マス氏である。
フェランディオール、マルシェ・オ・ポワソンに出会う
塩を含んだ大地の面影が残り、味わいにもミネラル感の強さが際立つフェランディエール。ここはひとつ、南仏流の海の幸を合わせてみたい。港町の市場にあふれる活気をそのまま伝えるビストロ「マルシェ・オ・ポワソン」に、ワインとのペアリングを提案してもらった。
ドメーヌ・フェランディエール リースリング × 魚介の旨味たっぷりブイヤベース
築地で朝に仕入れた魚介を、すぐ仕込みへ。3日間、手間暇かけて作り上げたオリジナルのブイヤベース。「あえてサフランよりも魚自体の香りと出汁が前面に出てくるよう、きっちり煮込むのが当店流。とろみのあるコッテリなスープを味わいつつ、キレのあるリースリングの酸でサッパリ。これを繰り返してもらえるのが理想です」 (「マルシェ・オ・ポワソン」シェフ、村上健さん)
フェランディエール リザーヴ・ヴィオニエ × 白身魚のエスカベッシュ
歯応えのある白身魚は、強めに効かせたニンニクのほかライムの皮と果汁、タイム、コリアンダーシードのハーモニーがエキゾチック。「このヴィオニエには、桃やハチミツの甘さを感じました。エスカベッシュはヴィネガーが弱めですので、ヴィオニエのオイリーなテクスチャーとともに、静かに溶け合います」(村上さん)
フェランディエール リザーヴ ピノ・ノワール × 真鯛のポワレ ガスパチョ仕立て
上品な真鯛に、夏ならではのトマトをふんだんに用いたガスパチョを絡めていただく逸品。隠し味にミョウガとタバスコを 少々。「この軽快なピノ・ノワールは肉だけでなく魚でも十分イケますし、夏に飲む赤ワインにふさわしい。料理に添えた薬味や調味料のスパイシーさが、ピノ・ノワールの果実味とともに口中で膨らんでいくでしょう」(村上さん)
DATA
マルシェ・オ・ポワソン
東京都中央区日本橋2−7−1 東京日本橋タワー B1
☎ 03-3510-9637
11:30 ~ 14:30 (L.O 14: 00)、17:30 ~ 23:00 (L.O 22:30)
日休
[フェランディエールに関するお問い合わせは]
スマイル ☎03-6731-2400
http://www.smilecorp.co.jp/wine/
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