サン・ブリ全部のせ
ドメーヌ プティジャンの醸造所はサン・ブリ・ル・ヴィヌーという人口1,000人ちょっとの村の中にある。車1台通るのがやっとの道が複雑に入り組んだ先にあるワイナリーは、一体ここにどうやってブドウを運ぶのか、といぶかしんでしまうけれど、ロマリック・プティジャンとその弟マチアスは平均すれば1年で5万本程度のワインを造るのだそうだ。彼らでブドウ農家として4世代目。祖父が元詰をはじめたので、ドメーヌとしては50年くらいの歴史になる。
サン・ブリのソーヴィニョン・ブランのほか、2017年はソーヴィニョン・グリの100%樽発酵も造ったといって出してくれた。 ソーヴィニョン・ブランは、ソーヴィニョン・ブランらしい、トロピカルフルーツの風味、そして酸味の美しさはさすがと唸らされる。ソーヴィニョン・グリの方は土壌がポートランディアンでちょっと重たいのだという。樽の影響もあって、そこは同意だけれどレモンのような酸ははっきりしている。
ロマリックさんによれば、現在の樹は、サンセール出身だというけれど、ソーヴィニョンはこのあたりではいつから育てているかわからないくらいの伝統的品種。さらにドメーヌ プティジャンではサン・ブリとは名乗れないものの、ピノ・ノワールも主力品種。ドメーヌ プティジャンの白にはアリゴテとシャルドネから造られるものもある。
赤でも白でも、美しくピンとした酸味、実に軽やかで、ちょっと苦みがあるのは共通。あとは、好みで選べばいい。「これがグルマンなうちのワインのスタイル」だと、ロマリックさんはいう。それは決してヘヴィーでもビッグでもない。さらに少量ながらクレマンも造っていて、収穫量・質ともに良好な年だった2018年はレイトハーベストにも挑戦しているという。手軽にサン・ブリをまとめて体験できてしまう、隠れ家的ワイナリーだ。