ピノ・ノワールは栽培がむずかしい
第1回のとき、「好きなワインは『ヴォ―ヌ・ロマネ』」っていってましたね。
「はい! ただ、それぐらいしか名前を憶えていなかったというのが実際のところで……」
ブルゴーニュだということも、世界で有数の産地であることも知らなかったと言ってましたもんね。本日のテーマは「ピノ・ノワール」。ヴォ―ヌ・ロマネもこのブドウから生まれたワインです。
「そうだ! そうですよね。ピノ・ノワールから生まれた世界のいろいろな産地のワインを飲み比べるというのはハードルが高いかなと思っていましたが、手がかりが少しありますね」
今回は5カ国からセレクトしました。
「あ、ちょっと、待ってください。ピノ・ノワールって世界中で造られているんですか?」
確かに疑問ですね。ピノ・ノワールから生まれるワインは人気もありますし、名品も多いから世界中で挑戦しています。でも、果皮が薄いことや冷涼でなければいけないなど、栽培自体が難しく、主要産地だからといって育つわけではありません。
今回の5つの産地のほか、ドイツ、アメリカ・オレゴン州が有名。スペインやイタリアなど欧州の一部地域、オーストラリア、最近ではチリも注目されています。
「よく聞くので、もっと一般的に造られているのかと思っていました。なるほど、気合入れて飲み比べてみよう」
いえいえ、肩の力を抜いていきましょう。まずは、可南子さんが慣れているブルゴーニュから。ルイ・ジャドの『ソンジュ・ド・バッカス ピノ・ノワール 2014』でいきましょう。
「すーっと香りが鼻に抜けていく上ような清涼感がありますね。上品すぎずに、でもとてもきれい。気心の知れた女友達との会食に楽しみたいです。いろいろなお食事にもあいそうです」
地域最大手のひとつルイ・ジャド。その自慢の多彩な地域や畑から収穫されたピノ・ノワールのブレンドです。バランスのよさ、そしていろいろな場面を美しく飾ってくれるテイストが可南子さんにも伝わっているようです。
続いては南半球の雄ニュージーランド。その世界的評価を高めた『クラウディ・ベイ ピノ・ノワール 2015』。ピノ・ノワールとソーヴィニヨン・ブランの名醸造地として名高いマールボロの代表的なワインです。
「ニュージーランドのワインは初めてです。
うわ、ちゃんとずっしり感があります。でも重すぎるわけじゃなくて、いろいろな表情がはっきりと感じられるというか……私、これ好きです」
どんな場面が浮かびますか?
「お肉が食べたいなあ。羊とか、あいそう! ニュージーランド、いいですね。世界が広がったなぁ」
ベンチ ソノマ・コースト ピノ・ノワール 2016
●生産国/地域:アメリカ/カリフォルニア
●輸入元/布袋ワインズ
クラウディベイ ピノ・ノワール 2015
●生産国/地域:ニュージーランド/マールボロ
●輸入元/ MHD モエヘネシーディアジオ
シャノン・ヴィンヤーズ&ワイン シャノン エルギン ピノ・ノワール 2016
●生産国/地域:南アフリカ/エルギン
●輸入元/スマイル
グランポレール 北海道余市ピノ・ノワール 2015
●生産国/地域:日本/余市
●発売元/サッポロビール
日本からは北海道余市ピノ・ノワール
次は南アフリカから『シャノン エルギン ピノ・ノワール 2016』でいきましょう。
「はじめは強めの印象なんですが、少しずつ青いというんでしょうか、いい軽やかさが出てきますね。あ、和食もいいかも。お母さん世代の大人の女性との食事のイメージが浮かびます」
多彩な土壌を持つの区画からピックアップされたピノ・ノワールをフレンチオークの古樽で9〜10か月ほど熟成。可南子さんがいうように凝縮感とほどよい酸のバランスが心地よい1本。和食でいえば穴子の煮切りなんていうペアリングも面白そう。
カリフォルニアからは『ベンチ ソノマ・コースト ピノ・ノワール 2016 』を。時に濃厚で重く、ハイアルコールも多いカリフォルニアの中でも、食事になじむハンドメイドなワイン造りを標榜する「ブラックマウンテンワイナリー」の作品。オーナーは長年ソノマの生産者団体の代表を務めるだけに、このエリアの特徴は知り尽くしています。
「すごくフレンドリー。最初の印象は甘いんですが、お上品さが出てきますね。少し年上の活躍されている女性の会にお呼ばれした感じ(笑)」
アロマティックさとボダニカルなグリーンが繊細に絡み合う。上品な女子会。最初は微笑みで歓迎されて、次第に奥深い世界に連れていかれそう……というところですかね。
さて、世界一周のフィナーレは日本。北海道は余市。グランポレール・シングルヴィンヤードシリーズから『北海道余市ピノ・ノワール 2015』。余市の協働契約栽培農家「弘津ヴィンヤード」産のブドウが使われています。
「日本では全国でピノ・ノワールを?」
残念ながらまだまだ。栽培も難しく、なにより高温多湿や台風など風雨の影響といった悪条件が重なり、気候的にあわない場所が多いんです。
「繊細。少し鋭さというのでしょうか。香りは優しいんですけれど……」
凛とした?
「そうですね! きりっとしたところと和のおもてなしというか優しさの両方。こちらは仕事仲間と仕事の終わりに軽く。
同じブドウでも世界でいろいろなものがあるんですね。ピノ・ノワールだけでも、いろいろなタイプの女子会ができそうです」
ピノ・ノワールというと少しハードルが高いと感じられる方も多いかもしれませんが、身近な会を想像しながら探っていくと、親しみを感じてもらえそうです。さあ、肉食系か、大人の上品系か、次の女子会には何を持っていきましょうか!?
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