
検証4 スズキ
夏場が旬の白身魚。成長するにつれて、セイゴ→フッコ→スズキと呼び名の変わる出世魚。本日は常磐産のスズキで検証を行う。繊細な甘味を持ち、噛み応えがあるために、白身でありながら軽やかなだけのワインではない方が合わせやすいとテイスター陣の意見が一致。
思いのほか淡白なだけではない。いろいろなアプローチが可能
スズキに合うワイン
検証5 シマアジ
アジ類のなかでは高級魚として知られる、夏が旬のネタ。体に黄金色の横縞が走っているのが特徴だ。身質がよく締まり、程よく脂がのっている。素材の香りはもちろんだが、脂の旨みとワインのボリュームが一致していることがマリアージュ成功の条件に。
脂の旨味にワインのスパイス感が大活躍!
柳 もしかして夏ネタって、実は難しい? こちらも◎が出ていない。合うんだけど、驚きにまでは至らないという。
松木 今更かもしれませんが、名前はシマアジだけれど、味わいはアジとはまったく違いますね。
柳 そう、脂がしっかりしていて、ややカンパチなどに近い。
松木 確かに、クラゲとキクラゲくらい違う(笑)。
富田 「ソアリェイロ(14)」が持つ海のニュアンスとコクに合いますよ。華やかでトロピカルな香りがあるので、シマアジのように少し脂のボリュームがあるネタだとバランスが取れる。ポルトガルなどの質の良いオリーブオイルを使った魚介や、脂ののった秋~冬のネタで試してもよさそうです。
紫貴 これが柳さんのおっしゃる「土地の密約説」っていうことですね。現地では「イワシ祭り」というのがあるらしいですから。
松木 ホワイトペッパーみたいなニュアンスがネタの味わいをキュッと引き締めて、余韻も心地いい。
柳 あっ、それはよさそう!
太田 ロゼとはいえ、メルロとカベルネ・フランなのでタンニンの主張があるワインなんですよね。それがピンクペッパーみたいにアクセントとして効いている。
松木 確かに、合わせてみるとカルパッチョみたい!
柳 決してクセの強いネタではないけれど、適度に脂の主張があるので、ほのかにワインのスパイス感を効かせるのが有効でしたね。
シマアジに合うワイン
検証6 アジ
通年食されているが、もっとも脂がのるのが夏期。「すしざんまい」では、石川県もしくは鹿児島県産を主に扱い、取材時は石川県産に薬味としてショウガとネギを添えた。青魚特有の香りを生臭く感じさせないことと、脂のボリュームにも対応するワインが求められる。
ネタだけでなく、薬味の香りを味方につけるワインが必須
柳 ジュラってどういうわけか地味なイメージが拭えない(笑)。ブルゴーニュとアルザスの陰に隠れているかのよう。
太田 確かに華やかではないかもしれないですが、舞台俳優みたいな味わい深さがある。
松木 あ、これは新しい! ジンジャーみたいなスパイス感が加わって、ネタはもちろん薬味まで網羅出来る。
紫貴 そう、ジンジャー感。だからこのワイン、実はガリともけっこう合うんです(笑)。
柳 素材が持つ香りとクセや生臭さを混同してはいけないのを前提として。でもやっぱり青魚って相当独特の香りがある。だから、赤や白というカテゴリーだけでなく、フロールに由来するインパクトや個性があったほうがいい。
富田 それって、「冬ネタ編」検証でもかなり議論の的となったテーマですよね。
柳 寿司マリアージュでは避けて通れない。その話、次のネタでより深く触れてみましょう。富田さんが熱く語ってくれるそうです(笑)。