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イタリアワインを探すなら 「ラ・カンティーナ・ベッショ」へプレーゴ!

イタリアの生産者も頻繁に訪れ、「ワイン選びのセンスがいいな」「おまえは分かっている」と口々に褒めて帰っていくワイン店

ドン・キホーテみたいに積み上げられたイタリアワインの数々。夢のような品揃えに、愛好家は目を丸くし、ソムリエはせっせと買い、同業者はひたすら観察する。原宿の裏通りにたたずむ「ラ・カンティーナ・ベッショ」をご紹介しましょう。

現住所に移転したのは2011年。「移転前も後も、ワインの種類数は変わらない。ただ、前はワインの横にカップラーメンやお菓子が並んでた」。本当にすごかったのは旧店舗かも。

売りたいワインを売る店でありたい

 

ビルの奥まった一角にある、秘密基地的なショップ「ラ・カンティーナ・ベッショ」。店頭販売と飲食店への卸だけで商い、ネット販売はしていない。それでも、ウワサを聞きつけた人たちが、ときには新幹線に乗ってまで馳せ参じる。イタリアワイン専門店だと信じて来店する人は少なくないが、「扱っているワイン約3000種のうち、イタリアは半分の1500種くらいですよ」とオーナーの別所正浩さんはこともなげに言う。
 

どの町にもあるような、普通の酒屋の息子として生まれ育った。しかも哀しいかな、酒に弱い体質。酒の香りが嫌いなわけでもないが、少し飲めば顔は真っ赤に。だが、大学生だった頃に父が急逝、卒業してすぐ酒屋を継いだ。「いいイメージも悪いイメージもない」酒を、自分がほぼ飲むことなく、商品として扱う日々。

30代に突入し、生活がワイン色にガラリと染まったきっかけは、たまたまレストランで飲んだオーストラリアのシャルドネだった。

「ビールすらほとんど飲まず、梅酒のような甘いものを『飲むと酔っぱらうジュース』として飲んでたくらい(笑)。なのに、そのシャルドネはびっくりするくらいおいしく感じた。お酒を飲んでおいしいと思えた初めての体験で、すごいうれしかった」

性格は、自他ともに認める凝り性。ジーンズのコレクションにハマり、「酒屋じゃなくて洋服屋やれば?」といわれたこともある。その熱量が、一気にワインへ。ワイン専門誌や一般誌のワイン特集を片っ端から読破し、都内で開催される輸入元主催の試飲会にひたすら顔を出した。

「量は飲めない体質のまま、最初はシャルドネばかり試飲。それから次は、シラーのような濃厚な赤も好きになった。その頃、有名なイタリアワインも積極的に飲んではみたけど、色は薄いのに酸っぱいし渋いし、正直あまりおいしくないと思った」

しかし、飲むシーンによって体が欲するワインは異なることに気づき、また産地の地域特性が見えてきたところから、またもや味覚がガラリと変化。そうして、フランスワインを中心に赤も白も泡もひと通りおさえたところで、ようやく目を向けた先がイタリアだった。

La Cantina Bessho

ラ・カンティーナ・ベッショ 
東京都渋谷区神宮前2-25-5  
tel.03-3401-1991

ここ20年のイタリアワインは進歩でカオス

「フランスワインは産地、品種の割合、醸造の情報があれば、もう飲まなくてもだいたい味の想像がついちゃう。それこそが安定感なんだけど、驚きが少なくなっちゃって。イタリアは、2000種以上の宝石みたいな地ブドウが大事に残され、フランスとは違う多種多様性を築き上げている。きりがなくて、ワクワクがとまらない」

栓を開けてみなければ分からないイタリアワイン。同じワインなのに翌年はラベルデザインも味も違うなんてことは、“イタリアワインあるある”だ。

とらえどころがなく、最初は恐怖に近い感情を抱いたほど。だが、それこそが魅力だと腹にすとんと落ちたのは、イタリアワイン界の重鎮であるソムリエ、平野博文さんが教えてくれた「いい加減が、いい加減」とのフレーズのおかげでもある。ザックリとしたいい加減なスタイルが、ちょうどいい塩梅で、いい具合。いいものを造ろうとするための変化なら、ポジティブにとらえるべきなのだ。

「あのバローロだって、バローロ・ボーイズが新しい醸造技術を導入し、アメリカで売れた結果、それまでの伝統的なバローロにも光が当たった。ここ20年のイタリアワインは、すごい進歩でカオス。それらが昇華されるのはきっと、さらに20、30年後。変化を追うのが楽しみです」

とはいえ、そんなカオス過渡期にあるイタリアワインが1500種並んだ店内で、客は好みのワインにたどり着けるのだろうか? 

「洋服屋さんで、『今日は何をお探しですか?』と営業的に声を掛けられるのがイヤ。だから、挨拶以外に自分からはお客さんに話しかけない。でも、お客さんから尋ねてくれれば、いくらでもお話しします。私、ものすごーいおしゃべりなので」

自分のショップは、自分の城。会社都合などの制約はないから、試飲してみて自分が「コレおいしい、売ってみたい」と感じることだけが、ワインを仕入れるモチベーション。だから、客に熱く語ることもできる。逆に、売れ筋だから、入手困難だから、という理由で売るのは信条に反する。

試飲会で、ピンとくるのが100本中10本程度。そこからさらに厳選して仕入れへ。客から「知らないワインばかり」と言われることもあるが、自然とそれぞれの地区を代表するワインが揃ってきてはいるという。店には一般客だけでなく、イタリアのワイン生産者も頻繁に訪れ、「ワイン選びのセンスがいいな」「おまえは分かっている」「おまえは本当にいいヤツだ!」と口々に褒めて帰っていくそう。

「私、イタリア語は話せないんです。いつもイタリア語の本は買うけれど、学習は……そこは凝り性じゃない(笑)。でも、対話できなくても陽気なイタリア人とは伝わるものがある。彼らに褒めてもらえると、楽しくなります」

近年、またワインに対する体質が変わった。

「今、54歳なんですが、50歳を過ぎたら急に飲める量が増えてきた。50デビューです」

イタリアワインとともに、別所さんもまた進化中??

ふろく:ラ・カンティーナ・ベッショのおすすめワイン

サン・ジュスト・レンテンナーノ
ぺルカルロ 2012

品種:サンジョヴェーゼ 100%
価格:7,800円

「死ぬときに飲む」と別所さんが誓っている1本。キアンティ地区のなかでも最上級区画のサンジョヴェーゼでつくられている。

左)コブエ
サン・マルティーノ・デッラ・バッターリア モンテ・オリーヴィ 2016

品種:トカイ・イタリコ、フリウラーノ 
価格:2,450円

関ヶ原の戦いのイタリア版「サン・マルティーノの戦い」の戦場跡。DOCの生産者はわずか5軒という幻のワイン。

右)カステッロ・ディ・ガッビアーノ
グリニョリーノ・デル・モンフェッラート・カサレーゼ 2013

品種:100%グリニョリーノ 
価格:2,200円

現存する城で造られ、ローマ法王が愛飲している赤。ロゼに近い色調でタンニンは少なく、軽やかな味が好きな方向け。

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