TENUTA CARRETTA
テヌータ・カレッタとは?
カレッタは14世紀の女領主の名前、カレータに由来する地名。農園の譲渡に関しての記録は、1467年のものが文書に残されている。その後オーナーが数回入れ替わり、1985年からは繊維業で成功を収めたミローリオ家の所有に。情熱と財力で醸造設備を一新、ロエロとランゲの重鎮的存在としてふさわしい品質を実現している。
ポーディオ ポディウム セッラエ ランゲDOC ネッビオーロ 2016
85%ネッビオーロ、15%バルベーラ
1467年に存在していたことが確認できる頌主専用区画、ポーディオに育つブドウを使用。
カッシーナ ボルディーノ バルバレスコ DOCG 2011
100%ネッビオーロ
傾斜のきついボルディーノ区画のブドウを遅めに収穫。樽熟成は6カ月、後に瓶内熟成へ。
カンヌービ バローロ DOCG 2011
100%ネッビオーロ
バローロ村の最高峰、カンヌービ区画のブドウを使用。樽熟成24カ月、瓶内熟成9カ月。
ロエロ・アルネイスは、僕がダースで買いこみたい。(谷川)
福村 テヌータ・カレッタが畑を持つランゲやロエロは、2014年にユネスコ世界遺産に登録されて、毎年多数の観光客が訪れるようになっています。街のレストランでは必ず、バローロやロエロ・アルネイスなど地元のワインがサーブされますね。
谷川 テヌータ・カレッタは、そのバローロもロエロ・アルネイスも造っています。
本多 クルマに置き換えてみましょう。性能のいい高級大型車メーカーは、質の高い手頃な小型車も造ることもできる。ワインも同様で、品質の高いバローロやバルバレスコを造るテヌータ・カレッタだから、ロエロ・アルネイスのようなお手頃なワインも高品質なんです。
谷川 ロエロ・アルネイスは、僕がダースで買いこみたいくらい。厚みがあるのに、重たくない。
本多 心地よい口当たりで、ほどよい酸と軽い苦味、アーモンド的な後味を持っています。
谷川 さらに特徴を挙げるとすれば、香りが支配的でない。
本多 強すぎず派手さのない個性が、いい意味でのニュートラルさなんですよ。シャルドネの樽の香りが苦手などとおっしゃるお客様には、とくに勧めやすい。
谷川 地中海のワインは全体的に、香りをとるのが難しいことタイプが多いですからね。そして、アルネイスのすごさは食事に合わせてはじめて真価が発揮されるところ。
本多 食事と合わせたとき、食とワインがお互い増幅するイメージ。料理で感じ取れなかった部分が表に出てきたり、逆にワインの個性が際立ってきたり。とくに、ソースでマスキングされた料理より、素材感のあり出汁のきいているような和食的な料理と相性がいい。
福村 私が勤務しているワインショップでは、やはりアルネイスが人気です。フードフレンドリーで、魚介だけでなくお野菜とも合うので。
谷川 うちのレストランでは、1皿ごとにグラスワイン1杯を組み合わせたペアリング・コースを提供しているんですが、ソースの強くない魚料理などにロエロ・アルネイスをセットすると、とくに男性から「おかわり!」と言われます。1杯ずつのペアリングなのに(笑)。普段、ご接待で力強いワインを飲むことが多く、どうもロエロ・アルネイスのようなタイプのワインに出会っていないようです。
福村 ロエロ・アルネイスは、前菜系のお料理にもいい。ピエモンテに行くと、前菜でお腹がいっぱいになるほど、前菜の種類が豊富です。有名なのがバーニャ・カウダ。
本多 バーニャ・カウダはソースにアンチョビが使われています。ピエモンテは山がちですが、南のリグーリア州がアンチョビやオリーブオイルの名産地。リグーリアの食材が北のピエモンテに伝わり、バーニャ・カウダが完成した。ピエモンテの食は、山と海のものが融合してるんですね。
福村 あと、淡泊なお肉料理も、ロエロ・アルネイスが合うと思います。
本多 鶏の前菜なら、ゴマのドレッシングだと強すぎるので、和風ドレッシングくらいで。あと、ネギトロも合いますよ。長ネギの代わりに玉ねぎを使うの。玉ねぎのほうが甘く感じて、ムチャクチャおいしいです。
谷川 まさかのネギトロ推し(笑)。
屋外BBQにはポーディオを思いっきり冷やして。(福村)
福村 では、赤のポーディオのほうは、どんなお料理と合うでしょうか? 手打ちの麺の煮込みパスタとか、ご自宅ならミートソースのパスタかな。
本多 これだけチャーミングなワインなら、合わせる料理の幅が広がります。同じ麺でも中華のジャージャー麺とか、いや、餃子もいい(笑)。
谷川 ポーディオは、かなり飲みやすいワインに仕上がっていますよね。チェリーやブルーベリー、スパイスのほか、若々しいバイオレット系の香りがする。香りの面では、ネッビオーロよりバルベーラの印象が個人的には強いけれど、味わいではきちんとネッビオーロらしいタンニンと酸がありました。
福村 抜栓してさほど時間が経たなくても、ちゃんと香りが開いていて、飲みごたえがあります。2016年は過去10年で一番生産量が多かった年ですね。
本多 15、16年はよい収穫年が続きました。
谷川 16年ですでにこれだけ丸みがあるのは、早くから飲めるようテヌータ・カレッタが丁寧に造ってるということ。余韻もきっちり残ります。
本多 テヌータ・カレッタはラインナップが豊富だから、大量生産のイメージを持たれる方もいるだろうけど、そんなことはない。スタンダードからハイレンジまでどれも個性を活かしたワインをきちんと手掛けているんですね。ポーディオのようにお手頃な価格帯でも、ブドウ選別の手間や醸造技術、セラーの清潔さなどでいいものが完成する。ロエロ・アルネイスとポーディオの質の高さに、ワイナリーの実力が見て取れます。
福村 屋外でBBQをするなら、ポーディオを思いっきり冷やして持っていきたい。
谷川 夏場は冷蔵庫で冷やしても、外に運ぶとすぐ適温になりますからね。
福村 タンニンが熟していて、アグレッシブでなく、アルコールもある。なので、やや冷たいまま飲んでもキュキュッと口内を締め付けられる感覚がありません。このワイン、飲用温度の幅が広いんです。
谷川 温度が低くても、フルーツのフレーバーは残りますね。ボトルのラベルには「ネッビオーロ」としか書いてないから、「だいぶ力強いワインかな」と最初は身構えるけど(笑)。
本多 実際は酸や果実味が充実していて、ピュアですよ。まるで、昔のバルベーラ・ダルバにありそうなスタイル。伝統を踏まえているんでしょう。
福村 でも、エチケットはモダンできれい。そのあたり、市場を意識されているはずです。イタリアワインの名前が覚えづらい一般の方でも、「あの王冠のワイン」と覚えやすい。
バルバレスコはパーティに、バローロは記念日に。(本多)
谷川 では、バローロとバルバレスコの2本へ移ります。まず、今飲んでおいしいバルバレスコがすごい!
福村 現行ヴィンテージが2011。テヌータ・カレッタは、リリースまで自社セラーで長く寝かせておける余裕があるんですね。
谷川 レストランとしては、限りあるスペースのセラーでワインを寝かしておくのが難しいので、こういうフェノールがまろやかで飲み頃を迎えたワインはとてもありがたい。
福村 レストランでは、仕入れてすぐ使えるからコスパがいい。小売店でも、お客様に「買ってすぐ飲めますよ」とお勧めしやすい。
本多 自宅に備えておき、ホームパーティでこの飲み頃のバルバレスコを出すと自慢できるはず。バラのニュアンス、果実味を感じます。
福村 枯れた表情も見せてくれて、バルバレスコに求めるすべてのものを、このワインは持っているんです。私、寿司にネッビオーロを合わせるのが大好き。マグロの漬けとか。
谷川 そうそう、熟成した赤は寿司と抜群の相性。僕も経験したことがある。
本多 マグロをさくで買って、さっと炙ってから煮きり醤油に漬けるといいですよ。
福村 本多さんは家飲み前提ですか。家庭でバルバレスコを開けるのは、そうとう特別な日だなぁ。
谷川 家で誰かをおもてなしするときにはピッタリでしょう。すでに香りが開いていますから。これがバローロですと、まず最初にデキャンタージュして開かせましょう。
本多 バローロはミネラルが強く、まだまだ寝かせられるポテンシャルがあります。奇をてらわず、いい収穫年ならではのカンヌービ畑らしさを忠実に引き出している。
福村 カンヌービは、「悪魔に魂を売ってでも手に入れたい」と伝えられる最高の畑です。所有者は13人のみ。
本多 そのカンヌービのなかでも、カレッタの畑は優れた場所にあります。2つの土壌が交わり、砂が多めだから、ほかでは産まれないバランスやエレガンスをワインに持たせられるんです。
福村 ただ、さすがにバローロは超高級で、買うとしたら贈答品用かしら。たしかに、カンヌービにしては安いと言えますけど……。
本多 いや、今の内に複数本買っておいて、記念日ごとに毎年1本ずつ楽しむべき。
谷川 変化を経験していくのは有意義。大切な人と一緒に開けて、シェアしながら思い出を刻んでいくんです。
福村 すてきな案ですね。今後必ず値上がりするし、やはり買うべきですか。でも、カンヌービをプレゼントしてくれる男性、いないかな。いたら私、嫁にいくわ~。
谷川 えっ? カンヌービに嫁が付いてくるなら、かなり安い買い物ですよ(笑)。
【問い合わせ先】サッポロビール
お客様センターtel.0120-207800 http://www.sapporobeer.jp