bioVioのワイン。本文では言及していないけれど(筆者も写真を見返すまで気づかなかった!)、グラナッチャの赤ワインも出ていた様子。サプライズ。これもリグーリアの品種だ。大量に用意されていたボトルはすっかり空いた
bioVio(ビオ・ヴィオ)とは
日本語で発音すれば、だいたい「びおびお」となる可愛らしい名前のワイナリーbioVio。イタリアはリグーリア州、アルベンガという村のワイナリーだけれど、ワイン以外にも、オリーブオイル、グラッパ、ハーブを手がける。魚介類を中心にした地中海料理にあう、農作物、農産物を生み出す会社だ。最初のbioはオーガニック、つぎのVioが、オーナー一家の名字。つまりワインはオーガニックワインだ。
日本ではそのワイン、一部をヴィーノハヤシが輸入し、販売している。ヴィーノハヤシの看板、ソムリエ 林 基就氏は、会場にて、このワイナリーへの「思い入れが強い」、「自分が選んだワインの生産者」、「ようやく8年目にして東京で一緒にイベントが出来た」と、まず語った。
そして、そのあと、林ソムリエはワインについての話をはじめた。簡単に、林ソムリエによる、bioVioの説明を紹介しよう。
リグーリア州は、州都がジェノヴァ。クロワッサンみたいな形の州で、南は地中海、西はフランスにはいって南仏のニースがあり、北にはトリノを州都とするピエモンテ州とミラノを州都とするロンバルディア州がある。東はボローニャが州都のエミリア・ロマーニャ州。
気候は温暖な典型的地中海性気候。州は魚介料理とハーブで有名だけれど、bioVioがあるアルベンガはリグーリア州では西の地中海沿いにあって、黒オリーブと、巨大で濃厚にして、肉厚で、皮が薄いトマトが、とにかくおいしいのだという。
bioVioのワインで、この日、飲めたのは、白ワインブドウ、ヴェルメンティーノとピガートのワインと、赤ワイン品種、ロッセーゼのワイン。
この3品種のなかでは、有名とおもわれる、ヴェルメンティーノは、リグーリアのほか、トスカーナ、サルディーニャでよく育てられている品種で、そのワインは「エビやイカに合う」。
ピガートはアルベンガの土着品種。ピガートでつくられたワインは2種類あって、ヴェルメンティーノにくらべれば、「香りはおとなしいけれど、さわやかな酸味と塩味が楽しめ、オリーブオイルと白身魚の料理に合う」とのこと。
bioVioのトップキュベ「ボン・イン・ダ・ボン」もピガートを使った白ワイン。海抜350mの単一畑で遅摘みでブドウを収穫するとのことだ。
ロッセーゼは赤ワインだけれど冷やしてサーブされた。「冷やしておいしい夏ワインとしてオススメしたい」とのことで、さわやかでフルーティーでまろやか。肉よりも、カツオなど、赤身の、しっかりめの魚に合う。
と、以上が林ソムリエによる概説だ。
筆者も実際に飲んでみたのだけれど、確かにそのとおり。付け加えるならば、「ボン・イン・ダ・ボン」は、最初、ちょっと煮た豆をおもわせるようなとろっとした甘みと旨みがあって、あたたまるとパイナップルのような香りがある。ロッセーゼは、味わいは軽やかだけれど、香りは赤ワインらしいしっかりとしたもので、冷えていても、その香りが嗅覚から食欲を掻き立てる。
筆者の感想はともかくとして、面白いのは、ソムリエであり、インポーターでもある林氏が、こういった解説をして、一緒にいるチャーミングなイタリア人女性、マーケティング担当のカミッラさんは、それをしないというところだ。
この日、カミッラさんがもっとも輝いたのは、アーティチョークの話をしているときだった。アルベンガには紫色のアーティチョークがある。ちょうど、旬の季節で、鮮度がよければ生でも食べられる。これは、日本でいえば、筍みたいな感じだ。
日本ではチョウセンアザミとも呼ばれるアーティチョーク。イタリアではカルチョーフォと呼ばれる定番の野菜だ。リグーリアでも採れる。今が旬。ちなみに右写真の右に写っているのが、ペペロッソの料理長の今井さん。イタリア郷土料理を得意とし、カミッラさんも「マンマの味!」と最大級の賛辞を贈っていた