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小原康裕が挑むボルドーの深淵

8つの代表的シャトーとリュクスな3つのホテルを国際ホテルジャーナリストが視察した

ワインの都ボルドー。これほど魅力ある都市がほかにあろうか。
ガロンヌ川が三日月形に湾曲したところに発展したため「月の港ボルドー」と呼ばれ、ユネスコの世界遺産に登録された。
街の中心地に建つ壮麗な大劇場はまるでギリシャの神殿のようだ。
また、ブルス広場は世界一大きな水鏡が見られ、水面に映るボルドー宮殿の姿はほかでは見られぬ絶景だ。
しかし、なんと言ってもボルドーの魅力は、美しく広がるブドウ畑と世界に名だたる極上ワイン。
暮れなずむブドウ畑の丘、情緒あふれる村の路地、栄華を誇る古都の街角に、新たな発見を求めて旅をしてみよう。

ボルドーの中心に位置するコメディ広場。左にグランドホテル、右に大劇場が並び、遠くジロンドの記念碑を望む。

特別なアポイント

去年9月初旬、ボルドーのシャトーを巡る視察の旅に出かけた。

収穫の直前であり、ブドウの生育を確認する絶妙なタイミングでもあった。サンテステフからソーテルヌ、川向うのポムロールやサンテミリオンを含む延べ30のシャトーを訪問するのは至難の業だ。
今回はリムジンをチャーターして、ボルドー市内を含め7日間の日程でボルドーの丘を駆け巡った。

また、ホテルジャーナリストとしてホテルの取材も兼ねて、この地域を代表する珠玉の3軒を最後に紹介したい。

各シャトーのテイスティングを含む視察を可能とするアポイント取得は難しく、5大シャトーとなれば更にハードルは高くなる。結果としてオー・ブリオンだけは日程が合わず断念。逆にシャトーを修復中であったカロンセギュールは、工事中にもかかわらず視察が実現した。

ここで言う“アポイント”とは、安易なグループ見学ではなく、PRマネージャー、ディレクター、醸造所長クラスがワイン製造の全工程を案内し、最後に数種類のテイスティングという特別のものだ。とくにラグランジュ
では事実上のトップ、副会長の椎名敬一氏に直々ご案内を頂いた事に感謝したい。

今回の旅で改めて痛感したのはテロワールとサヴォアフェールの重要性である。

テロワールとは、ブドウが育つための環境である土地、気候、土壌の質、斜面の起伏など、畑を取り巻く全ての自然環境の特徴。また、サヴォアフェールは、ブドウ栽培と醸造の、技術、経験、そして独創的な発想がブレンドされた、ノウハウの総称。それらを理解した上で、シャトーの歴史、伝統、文化などを加味して楽しんで頂きたい。

シャトーの周囲を掘割で防御し、まるで中世の城郭を彷彿とさせる「Château dʼIssan」。

目の覚めるような壮麗な姿で佇むシャトー「Château Pichon Longueville Baron」。

5大シャトーの一角を占めるグラーヴの名門「Château Haut-Brion」の正面エントランス。

ポムロールを代表するシャトー「Château Petrus」は大邸宅の雰囲気である。

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小原康裕
国際ホテルジャーナリスト

慶応義塾大学法学部法律学科卒。1974 年Munich Re 入社。

2001 年投資顧問会社原健設立、代表取締役CEO。

JHRCA、日本ホテルレストランコンサルタント協会理事。

www.jhrca.com/worldhotel

https://www.facebook.com/yasuhiro.obara.16

現在、筆者のホームページで「世界のリーディングホテル」を連載中。多くの美しい写真と興味深いコメントで、世界中のホテルとそれら関連都市を紹介。

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