Château d’Yquem 〜Sauternes〜
ソーテルヌの盟主
偉大なる貴腐ワインの貴婦人
ソーテルヌの盟主、ディケムのシャトーはまるでお伽話に出て来るような城を彷彿とさせる。周囲を趣ある松の木々が取り囲み、一瞬日本の松林の風景とも重なる。
テロワールと、ブドウに付着する菌の作用。
この偶然ともいうべき融合を最大限に利用したものが、ソーテルヌ地区の貴腐ワインであり、その最高峰が「シャトー・ディケム」である。通常、果実に菌が付着ことは好ましくはないが、果皮を破らずに果肉の水分だけを排出し糖度を高める「貴腐「と呼ばれる効果を示すボトリティス・シネレア菌に限っては例外である。その甘く熟した貴腐果からは、蜜酒を凌ぐ至高のワインが誕生する。
約100ヘクタールのディケムの畑には、セミヨン種が約75%、ソーヴィニョン・ブラン種が約25%植えられ、約9万5千本のワインが造られる。これは1本の樹からグラス1杯程度の量という希少価値だ。
ディケムの創業は1593年。ソヴァージュ家とリュル・サリュース家が400年以上にわたってこの宝を保護し続けて来た。
1997年、シャトーは巨大なコングロマリットであるLVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンに売却された。LVMHグループはラグジュアリーブランドの集合体で、ワイン&スピリッツ部門ではクリュッグやモエ・エ・シャンドンなどのシャンパーニュ、ワイン部門ではディケムやシュヴァル・ブランなどを傘下に収めている。
現在のシャトー代表は、シャトー・ディケム社長兼CEOのピエール・リュリュトン氏が務めている。