合言葉はホリスティック!
このワイナリーでは滞在も楽しめる。それも、ワインはもとより朝食にいたるまで、どっぷりとオーガニック三昧だ。
「シン・エステート・ヴィンヤード(Shinn Estate Vineyard)」のオーナー夫婦、バーバラ・シンとディビッド・ペイジは1990年初頭にサンフランシスコからニューヨークへと引越してきた。
シェフだったディビッドはグリニッジ・ビレッジに「HOME」という名のレストランをオープン。そこでのレシピが本になり、2001年に「ベスト・アメリカン・クックブック」でノミネート、「ジュリア・チャイルド・クックブック賞」を受賞した。
1998年、彼らはロングアイランドワイナリーで歴史的建造物の家を購入し、自然とのつながりを求め始める。20エーカーのワイン畑とBB(ベッド・アンド・ブレックファスト)4室の経営を開始。
2009年に太陽光発電、2010年には風力発電ユニットを導入し、米国東海岸初の代替エネルギーだけで運営されるワイン畑+宿(INN)とした。
畑には、ソレル、クローバー、カラスノエンドウ、タンポポなどの雑草がたくさん咲き乱れる。水の補給に、魚、海草、海水などが混じったものを使い、あとは土中の虫、ハチ、兎、鳥などの自然界の生物たちの働きに任せて、たっぷりとミネラルを育む。
多くの専門家は、ロングアイランドの蒸した気候で、ケミカル肥料なしにワイン作りは不可能という。だが、彼らはこのようにして益虫に害虫を退治させる方法をつくり出したのだ。
BBの食事は、デイビッドが作る。材料は周辺で得たオーガニックものばかり。ワインラベルには、細かな成分表が記されている。どのようなものが含まれているかを知ってから飲んでもらいたいからだという。
カベルネ・ソーヴィニヨンとフルーティなメルローの混合から生まれた2007年産のクラリティ(Clarity)は100ドルの値がつけられていた。
BBはデイビッド自慢の大きなアヒルの卵料理つきで1泊200ドル程度。次は泊まりがけで、自然が育んだワインを、満天の星の下で飲むことにしよう。
今回紹介したワイナリー
Shinn Estate Vineyards and Farmhouse
2000 Oregon Road, Mattituck, NY 11952