なにより色が愛らしい
鎌倉駅から江ノ電で3駅。喧騒から離れた長谷駅近くにある、隠れ家のような「ボータン」は、一軒家とテラスが一体化した、自然の光がたっぷりと入るワインバー。休日ともなると地元の人に加え、近郊からの客で賑わいます。気取ってワインを飲もう、というよりも、リラックスムードの人が多いのも、こちらの特徴。
「海が近いのでバカンスをイメージさせてくれるんですよね、きっと。海風があるからか、ワインの味も東京で飲むのとは違って、少しクリアになる気がしています」。
同店ソムリエ、五十嵐和弘さんはそう言います。同店では、お客さまの約半数がロゼを頼まれるとか。
「ロゼはなにより色が愛らしいので、年齢を問わずデートの方に人気です。グラスにつがれたワインを見るだけで、女性の方がうれしそうに微笑まれるのをよく見受けます。50代のご夫婦がロゼを1本たのんで、ゆっくり時間をかけて飲んで行かれることもよくあります」。
ロゼは常時3種類ほどストック、辛口からやや甘口まで、味にもバリエーションを持たせるようにしているそうです。
「少し甘めのロゼ、と注文を受けることもよくあります。あまりワインを飲みなれないひとでも、とっつきやすいのが魅力だと思います」。
休日のデートは、まずやさしい味わいのロゼで始めてみましょう。
迷った時の救世主
2人でワインを 1本だけ開けるとなると、白にするか赤にするか、はたまた泡にするかで迷うところ。そんなときの救世主が、なにを隠そうロゼなんです。軽くもなく、重くもなく、休日のランチタイムにゆるゆる飲むのに、ちょうどいいバランス。赤ワイン1本は飲みきれない、という場合でも、ロゼならするっと飲めてしまう。そんな気軽さがロゼにはあります。
いろんな食事に合いやすいのも、ロゼのポイント。白や泡だとメインの肉には物足りないし、赤だと最初の前菜には重すぎる。だけど、ロゼは魚にも肉にも、揚げ物にもだいたいのメニューに合ってくれるありがたい存在。中華やエスニックなどの甘みのある料理にも合う、まさにペアリングの王様です! パテやハムなどのシャルキュトリー(食肉加工品)にもピッタリ。
「うちはフランス料理をベースとしたメニューが多いですが、おいしいと思えばしょうゆも使うし、いろんなスパイスも自在に加えます。地元の野菜をふんだんに使うのですが、苦味のあるルッコラなどにもロゼならすんなりと合ってくれる。おすすめは、春野菜との組み合わせ。特にほのかな苦味のある山菜のフリットと、ほどよい厚みのあるロゼとはベストマッチします」(五十嵐さん)。
シュヴェルニーで考えが変わった
ロゼといえば安価なバカンスワイン、という〝常識〟がずっとあったのは事実。ただ、ここ数年、クオリティの高いロゼが増えています。
「(グランメゾンの)レストランで働いていたときは、店にはロゼは全く置いてませんでした。むしろ、置くなという風潮があった。僕自身、ロゼはたまに飲んでいましたが、そっけない味しかしないな、と思っていました。ところが、ピュズラのシュヴェルニーを飲んで考えが変わりました。じわっとした旨みがあって、料理にすごく合う。以来、しょっちゅうロゼを飲んでます」と五十嵐さん。
品質の高いものが増えたとはいえ、白や赤に比べると、有名な生産者のものでも価格が控えめなものも注目したいところ。同店では、だいたい4,000~5,000円程度なので、お客様におすすめすることも多いそう。
飲み方が比較的自由なのも、ロゼのいいところ。
「有名な生産者さんが、ロゼについて熱く語るのは、あまり聞いたことがないです(笑)。でも、それくらいの力の入り過ぎないポジションがいいんでしょうね。それでいて、きちんと美味しいものは見つかる。温度もキンキンに冷やして大丈夫だし、氷を入れて飲んでくださいという生産者もいるくらいです」。
ゆるっと自由に、もっとロゼを楽しもう!
ボータン Beau Temps WEBSITE |
神奈川県鎌倉市長谷1-14-26 | |
0467-40-6172 | ||
12:00 ~ 14:00(L.O.)18:00 ~ 22:00(L.O. 0:00close) | ||
不定休 |