Recette 1 収穫
シャンパーニュでの収穫は、手摘みが決まり。機械収穫だと必然的にブドウの実は梗から外されるので、圧搾場に到着するまでの間に黒ブドウは果汁に色が付いてしまうからだ。
毎年3万4000haのブドウ畑に10万人以上の収穫人が動員され、およそ3週間かけてブドウを摘み取る。ブドウが自重で潰れないよう小さな籠を使って収穫し、籠がいっぱいになったら圧搾場に運ぶコンテナに移される。そのコンテナの大きさも最大50kgと定められ、潰れたブドウの果汁が溜まらないよう、小さな穴が開けられている。
Recette 2 圧搾
シャンパーニュ地方には約1900の認定圧搾場があり、収穫したブドウはただちに搾られる。規則では、 4000kgのブドウから最大 2550ℓまで果汁を搾ることが許されている。
最初に搾る2050ℓを「キュヴェ(一番搾り)」、次の 500ℓを「タイユ(二番搾り)」と呼ぶ。キュヴェのほうがピュアでフレッシュ、豊かなアロマをもち、長期の熟成に向いた果汁が得られるため、とくにミレジメやプレステージ・キュヴェでは、キュヴェしか使わないメゾンも少なくない。
シャンパーニュの圧搾機は垂直式のコカールタイプ(写真上)が伝統的に使われてきたが、現在は空気圧式や傾斜板型など、さまざまなタイプの圧搾機が導入されている。
Recette 3 デブルバージュ
圧搾した果汁には不純物が含まれている。発酵の前に、タンクの中で果汁を静かに休ませ、タンクの底に不純物を沈殿させる。この作業をデブルバージュという。
デブルバージュの時間はだいたい12〜24時間。タンクの温度を摂氏 5度くらいまで下げ、アルコール発酵が自然に始らないようにする。このようにして上澄みの果汁のみを次の発酵行程に回し、残った沈殿物は蒸留所へと送られる。
Recette 4 アルコール発酵(一次発酵)
果汁をアルコール発酵させ、ベースとなるワインを造る。発酵に使われる容器は温度管理や衛生管理のしやすいステンレスタンクが一般的だが、オークの小樽(写真)やフードルと呼ばれる大樽が用いられることもある。
また、後に行われるアッサンブラージュの自由度を広げるため、多くのメゾンではクリュごと、品種ごとに発酵を行い、個別に管理する。
糖度の低い果汁の場合、補糖が許されている。ただし、最終的なアルコール度数は11度を超えてはならない。なぜならこの後の瓶内二次発酵によって、アルコール度数は1〜1.5度ほど上がるからである。
Recette 5 マロラクティック発酵
マロラクティック発酵とは、乳酸菌の働きによって、ワインに含まれるリンゴ酸を乳酸に変える行程。これによって酸を下げるとともに、複雑なフレーバーが生み出される。
すべての造り手が必ず行うわけではない。シャンパーニュにフレッシュさを求めたり、長期熟成のポテンシャルを与えるため、あえてマロラクティック発酵を行わない造り手もいる。