• TOP
  • News
  • ボルドーに新たな品種

ボルドーに新たな品種

2021年に6品種を植栽開始

ボルドーで、これまでワインに使われていた、赤ワイン用品種6種、白ワイン用品種8種に、あらたに、赤ワイン用に4品種、白ワイン用に2品種が加わる。植栽の開始は2021年から。栽培面積、ブレンド比率は限られたものとなるものの、地球温暖化をはじめとした、環境への対応として、大きな決断がなされた。

気候変動に対応

フランス農務省の一部門である国立原産地名称研究所(INAO)は、ボルドー地方における赤ワイン用新品種4種と、白ワイン用新品種2種の使用を正式に承認した、と発表した。

この発表は、ボルドーのワイン科学者と生産者たちが10年以上にわたって積み重ねてきた、膨大な研究を集大成させたもののひとつだという。

発表によると、これは、「現代のブドウ栽培における最大の問題である、気候変動への実に効果的・革新的な対策」であり、「それが環境に優しい手法であることは特筆すべき」とのこと。承認された品種は気温上昇と生育サイクルの短縮に伴う水分ストレスに、うまく適応することができるものとされ、2021年から、植栽開始が予定されている。

具体的には赤ワイン用品種として承認されたのが、アリナルノア(Ariarnoa)、カステ(Castets)、マルスラン(Marselan)、トウリガ・ナショナル(Touriga Nacional)。

白ワイン用の品種が、アルヴァリーニョ(Alvarinho)、リリオリラ(Liliorila)。

この6品種に至るまでに、査定を受けたのは52品種以上だという。

新たな6品種の植え付けは、現状では、地方全植栽面積の5%が上限とされており、どの色のワインでも10%が最終ブレンドに占める割合の上限となる。このため、これらの品種名がボルドーワインのラベル上に記載されることはない。

AOCボルドーおよびボルドー・シュペリウールのワイン生産者連合が、気候変動の影響軽減を目的とした新品種認可の意向をはじめて表明したのは、2019年6月のこと。このたび、国政レベルでの正式承認を得たことで、ボルドーの造り手たちは栽培品種をさらに多様化させ、長い歴史の中で培ってきたワインのブレンド技術を、さらに発展させることができるようになった、という。

ボルドーでは、AOC規定で、赤ワイン用の基準品種として、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、メルロ、マルベック、カルメネール、プティ・ヴェルドの6品種、白ワイン用の基準品種として、セミヨン、ソーヴィニヨン・ブラン、ソーヴィニヨン・グリ、ミュスカデル、コロンバール、ユニ・ブラン、メルロ・ブラン、モーザックの8品種が、以前から認められている。これら在来の品種でも、近年では地球温暖化の影響から、栽培状況に変化があり、今回の発表の中では、晩熟品種のプティ・ヴェルドが、2018年までに、栽培面積はかつてと比較して、191%にまで増加している、としている。

また、発表では、ボルドーにおいては、ブドウ品種の選択だけではなく、醸造、栽培面においても、毎ヴィンテージの必要に応じて最適化された多くの対策が実践されている、として、剪定を遅くする、葉面積を減らすためにブドウ樹の幹の高さを上げる、 強い太陽光から房を守るために除葉を控えめにする、水分ストレスを最小限に抑えるために区画別の管理をする、夜間に収穫する、植樹間隔を広げる、という例が挙げられている。

加えて、歴史への言及もあり、19世紀後半のフィロキセラ禍によって、台木への接ぎ木と植替えによって、 ボルドーはこの世界的危機を克服し、その結果としてブドウ品種の栽培比率が大きく変わり、今日、赤ワイン用ブドウとして主力のメルロやカベルネ・ソーヴィニヨンは、この頃から植栽面積が増えた、という例を挙げる。

発表は、「ブドウ品種や栽培方法が変わっても、ボルドーワインはそのアイデンティティ――絶対的な高品質――を保ち続けました。 このたびの新品種の導入や、栽培方法の改善も、ボルドーに次世代の黄金期を到来させるための、 大きな歩みとなることでしょう。」と締めくくられている。

この記事を書いた人

WINEWHAT
WINEWHAT
YouTubeInstagramでも、コンテンツ配信中!
フォローをお願いいたします。

Related Posts

PAGE TOP