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2019.9.14
餃子ワインU3000円選手権〜選抜20本からベスト1を選ぶ (その1)
ニッポンの国民食とワインのマリアージュを5人の専門家が検証
餃子ワイン、20位からの発表です!
各審査員が焼(餃子)と水(餃子)とのマリアージュ度を100点満点で点数化、その平均点の合計によって順位を決定しました。同点の場合、同じ順位としています。
20 ロジャーグラート
カバ コーラル ロゼ・ブリュット 2017【泡・ロゼ】
174.8
焼86
水88.8

選者・瀬川の推薦コメント
淡いサーモンピンクの色合い。キイチゴやアセロラ、ピンクグレープフルーツの果実香に、フローラルな印象、わずかに香ばしさが感じられる。様々な調味料との親和性にも期待。
●生産国/地域:スペイン/ペネデス
●品種:ガルナッチャ70%、ピノ・ノワール30%
●希望小売価格:2,100円
●輸入元:三国ワイン
気軽にするする
富田 このワイン、初めて飲みました!
瀬川 「ロジャーグラート」が最近リリースした、コーラル・ロゼ。スペインのエンパナーダを意識して、カバにしました。黒ブドウ100%で、淡い色合いのわりに味わいがしっかりしていることと、マロラクティック発酵をしていないため、凛とした酸が伸びます。まずはポン酢で試してみたいです。
柳 このワイン、独特の香りがある。
瀬川 フローラルですよね。澱のイースト香が控え目で、気軽にするする飲める。
松木 シンプルに水餃子とポン酢が合う。ワインにトマトのような酸味があるので、餡に加えてみてもいいし、ミネストローネ風餃子などもイメージできます。若々しいので料理を邪魔しない、オールマイティさ。
富田 水餃子とバルサミコ酢の組み合わせは、赤系のベリーや熟したプラムの香りが広がり、ロゼの良しがより生き生きと感じられます。焼き餃子の時は、酸が欲しいので味噌ダレに少しだけ米酢を垂らしてみたら、バランスが良く、美味しくいただけました。
柳 皆さん、徐々に調味料をブレンドすることで餃子とワインにアジャストする技が向上してきたようですね(笑)。このワイン、ロゼ泡とはいっても、ブラン・ド・ノワールみたいな印象。フレッシュ感が際立っているから焼き餃子と合せると、脂分をすっきり切る方向になってしまって、+αの同調感があるかは難しい。ここは水餃子に軍配です。
18 スラ・ヴィンヤーズ
スラ ブリュット メトッド・トラディショネル NV【泡・白】
175.6
焼89
水86.6

選者・富田の推薦コメント
インドらしいスパイスと洋梨、白桃のアロマが広がり、上品で華やかな印象。味わいの中盤で広がるトーストやミネラルが、クリーミーな泡とともに深みと厚みを感じさせる。
●生産国/地域:インド/マハラシュトラ
●品種:シュナン・ブラン、シャルドネ、ヴィオニエ、ピノ・ノワール、リースリング、シラーズ
●希望小売価格:2,130円
●輸入元:出水商事
焼き餃子+味噌とぴったり
富田 このスパークリングは、オリエンタルスパイスのようなニュアンスがあるので、餃子のジューシーな肉汁に合うと思って選びました。
松木 ふくよかさとコクが特徴だから、香ばしさがある焼き餃子の方がいい。味噌だれのふっくらした旨みとの組み合わせがとてもよかった。
瀬川 ベーシックな組み合わせとして、酢醤油にラー油少々でいただきました。水餃子も美味しいけれど、ちょっと無難に終わってしまう。風味のバランスはもちろん、発泡の刺激も焼きの皮のクリスピーな食感とぴったりくるので、焼き餃子ですね。
富田 私は水餃子の方に高得点をつけました。柚子胡椒でいただくと、ワインが奥底に持つエキゾティック感が呼び起こされたかのように、より前面に出てきます。松木さん推しの味噌だれと焼き餃子は若干意外な気がしたけれど……なぜか美味しい!(笑)。ワイン側の澱との接触時間が関係してくるのかもしれません。
太田 澱との接触時間によって生まれるアミノ酸の旨みが、味噌との共通項になっているからだと思います。僕は、焼き餃子は酢醤油+柚子胡椒で試しました。焼き目の香ばしさとワインの風味が調和し、余韻でも互いのボリュームが一致している。餃子がより上品になるような、ガストロノミックな組み合わせです。
松木 瓶内二次発酵に由来する、ほのかなトースト香があるから、香ばしさに寄り添うのだと思いますよ。
柳 ボディの豊かさとイースト香が香ばしさや肉の旨みと作用して、確かにこれは焼き餃子がいい。
18 ボデガス・フォンタナ
メスタ ベルデホ オーガニック 2018【白】
175.6
焼86.6
水89

選者・松木の推薦コメント
レモン、ライムや熟した白桃に、タラゴン、フェンネルのハーブの香り。ジューシーな果実味が中盤に広がりながらも、白こしょうのようなスパイス感が余韻を引き締めている。
●生産国/地域:スペイン
●品種:ベルデホ100%
●希望小売価格:900円
●輸入元:メルシャン
危ない柚子こしょうワイン
松木 コスパ抜群の家飲みワイン。餃子に柚子胡椒をプラスした状態を想定してセレクトしました。柑橘の香りに果実味もしっかりありますが、ほのかなスパイシーさで終わる。だから、味わいが優しい水餃子のアクセントになると思います。
瀬川 確かに、本来の水餃子の美味しさをストレートに生かしてくれる組み合わせです。ワインの余韻に現れる塩味やミネラルもいい。もちっとした皮の食感にきれいな酒質があいまって、独特の艶っぽい味わいが生まれます。
富田 青みのある爽やかさ同士の調和だから、野菜たっぷりの餃子で試してもよさそう。
松木 そう! 自宅で試してみたら、九条ネギやニラなどがよかったです。
富田 焼き餃子と合わせるときは、ポン酢がいい。果汁を使っていることから、やっぱり柑橘感がカギになるようです。アフターのミネラルの伸びも心地よい。
太田 それ、いつまでも食べ続けられそうなキケンなループ(笑)。松木さんゴリ押しの柚子胡椒も抜群です。柚子の苦みと辛み……これだけでワインが進んでしまいそうで、増々危ない柚子胡椒ワインかな(笑)。
柳 ワインにフレッシュ感があるということも大事だと思います。さらにミネラルと柑橘が合わさって、後味をキュッと引き締めてくれるから、食べ続けるとややもったり感じる皮の部分もすっきり楽しめる。柑橘のニュアンスを持つ白ワインと調味料に餃子の組み合わせは、心地よく食べ進められるテッパンですね。
17 カテナ
アラモス トロンテス 2018【白】
179.4
焼89.6
水89.8

選者・瀬川の推薦コメント
淡いイエローの清澄度良好なワイン。柑橘やトロピカルフルーツに、ジャスミンやハーブのアロマ。フレッシュで、果実味、酸、アルコールがバランスよく溶け込んでいる。
●生産国/地域:アルゼンチン/サルタ
●品種:トロンテス100%
●希望小売価格:1,770円
●輸入元:ファインズ
なぜかアジアテイスト
瀬川 スペインのエンパナーダは、小麦粉の生地で具材を包む料理で、餃子と似ています。隣国のアルゼンチンでも楽しまれているそうなので、トロンテスを選びました。エキゾティックで華やかなアロマがあるので、柚子胡椒とか塩でシンプルにいただくといいと思います。
柳 なぜか、飲茶っぽい印象が口中で完成しますね。
太田 なるほど、急に八角みたいなフレーバーが現れる。
松木 焼き餃子なら味噌だれ、トロピカルな果実感の広がりと甘さ、コクのバランスがいいです。
柳 そういえば、松木さんは名古屋の出身でしたね。だから味噌へのただならぬ思い入れがあるのでは?
松木 はい、名古屋って食カルチャーの独立国家みたいなもので(笑)。おでんだって、味噌必須ですから。いっぽう、水餃子なら柚子胡椒。
瀬川 余韻にもハーバルかつフローラルなニュアンスが伸びるため、水餃子だとタイやベトナム料理みたいな印象を与えてくれて、楽しい組み合わせになる。焼き餃子の香ばしさには、ちょっとトゥーマッチだったかもしれません。
富田 水餃子×豆板醤も結構合います。焼き餃子と味噌だれだと、アニスみたいなオリエンタル感が出てきて面白いですね。
柳 なぜかアジアテイストというか、エキゾティックな印象になる。
太田 手ごろな価格なのに、餃子と合わせることでしっかり化学反応が起こるワイン。これは自宅のごはんが楽しくなりますね。
16 ファミーユ・ヒューゲル
ジョンティ 2017【白】
181.4
焼92
水89.4

選者・太田の推薦コメント
クリーンな柑橘に金木犀、ライチやマスカットのエキゾティックなアロマ。リンゴ酸が心地よく味わいの輪郭を引き締める。友人とわいわい過ごす、楽しい雰囲気にぴったり。
●生産国/地域:フランス/アルザス
●品種:ゲビュルツトラミナー15%、ピノ・グリ22%、リースリング7%、ミュスカ6%、シルヴァーナー&ピノ・ブラン50%
●希望小売価格:1,900円
●輸入元:ジェロボーム
酢醤油がいい
太田 餃子って、肉の餡と具材の風味が皮の中で混然と溶け合う旨さ。だから、複数の品種が混ざったワインを合わせてみたいと思いました。酢醤油がいいと予測しています。
柳 太田さん、普段餃子を食べるとき、酢と醤油の比率にこだわりは?
太田 半々ですね。しかも、カフェ・オ・レのように双方を注ぎながら空中で混ぜるっていうのが、僕の譲れない流儀です。
柳 華麗な所作にどんな効果があるのかは謎ですが、この“太田ブレンド”こと酢醤油で検証してみましょう(笑)。
瀬川 アルザスらしいワインの美しい酸とアロマティックな品種が織りなすリッチなフレーバーが、焼き餃子に調和します。水餃子も酸の豊かさでさっぱりいただけて、いいですね。
富田 太田ブレンドと複数品種。ほどよい複雑味が印象的です。水餃子なら、酢だけでも十分ワインの華やかさを引き立てることができる。
太田 自称、日本酢ムリエ協会、会員№1です。酢と黒こしょうもいいですよ。
柳 やっぱりアロマティック系品種と中華の相性は間違いないね。樽を使っていないワインなのに、焼き餃子に合うというのはなぜだろう?
松木 味覚の根本となる五味って、甘味、酸味、塩味、旨味ですよね。餃子の焦げ目を苦味と考えれば、このワインと餃子、タレで五味が完成するからじゃないでしょうか?
富田 餃子の餡と具材に調味料、ワインそれぞれのブレンドの妙が呼応した結果ですね!